外国人の採用方法について、この記事をご覧いただければ具体的な手続きの流れがわかります。
「外国人を採用したいけど、どんなルートがあるの?」
「海外から呼び寄せる場合と、国内にいる外国人を採用する場合では手続きが違うの?」
「留学生を新卒採用する際の注意点は?」
「それぞれの採用ルートで、どんな書類が必要なの?」
などの疑問をお持ちなので、当記事を見ていただいているのだと思います。
そんな「外国人の採用ルート」に関する疑問点を、外国人雇用に精通した現役行政書士が徹底解説します。
最後まで読んでいただければ、自社に最適な採用ルートとその手続きの流れが理解できると思います。
最後まで読んでいただいて「外国人採用のルート」についての理解を深めていきましょう。
【筆者プロフィール】
行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルティング・ファイナンシャルプランニング技能検定3級
長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、
行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。
また、企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。
外国人採用における3つの主要パターンを知ろう
外国人を採用する方法は、大きく分けて3つのパターンがあります。
それぞれの採用ルートによって、必要な手続きや準備期間、注意すべきポイントが異なります。
まず、全体像を把握することが重要です。

・海外招聘パターン
母国にいる外国人を日本に呼び寄せて採用する方法です。
海外の大学卒業者や、専門スキルを持った人材を直接採用したい場合に適しています。
ただし、在留資格認定証明書の取得からビザ発給まで、複数のステップが必要となり、入社までに最も時間がかかるルートです。
・国内転職者パターン
すでに日本国内で就労ビザを持って働いている外国人を、中途採用する方法です。
日本での就労経験があり、日本語能力も一定レベル以上の人材が多いため、即戦力として期待できます。
ただし、在留資格の変更が必要になる場合があるため注意が必要です。
・留学生新卒採用パターン
日本の大学や専門学校に在籍している留学生を、新卒として採用する方法です。
日本の教育を受けているため、日本の商習慣への理解があり、日本語能力も高いことが多いです。
ただし、専攻内容と職務内容の関連性が重要な審査ポイントとなります。
これら3つのパターンは、それぞれメリット・デメリットがあり、企業のニーズや採用したい人材のタイプによって最適なルートが変わってきます。
次の章から、それぞれのルートについて詳しく見ていきましょう。
【ルート1】海外招聘:母国から優秀な人材を呼び寄せる
海外招聘は、母国にいる外国人を日本に呼び寄せて採用する方法です。
このルートは最も手続きが複雑で時間がかかりますが、海外の優秀な人材を直接採用できるメリットがあります。
海外招聘の標準プロセスフロー

①採用面接
オンライン面接や現地での面接を実施します。
近年は、Web会議システムを活用したオンライン面接が主流となっています。
②内定・雇用契約締結
面接を通過した候補者に内定を出し、雇用契約を締結します。
この段階で、給与額、職務内容、勤務地などの雇用条件を明確にします。
③申請準備
在留資格認定証明書の申請に必要な書類を準備します。
企業側が準備する書類と、外国人本人が母国で準備する書類があります。
④在留資格認定証明書(COE)交付申請
地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付申請を行います。
申請は企業側が日本国内で行うことができます。
⑤在留資格認定証明書(COE)交付
審査期間は通常1か月~3か月程度です。
審査が通れば、在留資格認定証明書が交付されます。
⑥在留資格認定証明書郵送
交付された在留資格認定証明書を、母国にいる外国人本人に郵送します。
国際郵便で送付するため、到着まで1週間~2週間程度かかります。
⑦査証(VISA)発給申請
外国人本人が、母国にある日本大使館または領事館で査証(ビザ)の発給申請を行います。
在留資格認定証明書を提示することで、スムーズにビザが発給されます。
⑧査証(VISA)発給
通常、申請から数日~1週間程度でビザが発給されます。
⑨渡日
ビザが発給されたら、日本への渡航が可能になります。
航空券の手配や渡航準備を行います。
⑩入国・在留カード受領
日本の空港に到着後、入国審査を受けます。
入国が許可されると、その場で在留カードが交付されます。
⑪入社・就労開始
無事入国できたら、いよいよ入社・就労開始となります。
海外招聘の注意点
・手続き期間は最短でも3か月~4か月程度
面接から入社まで、順調に進んでも3か月以上はかかると考えておく必要があります。
採用計画は余裕を持って立てましょう。
・在留資格の要件を事前に確認
職務内容が就労ビザの要件を満たしているか、事前に確認が必要です。
特に、学歴要件(大卒以上、または実務経験10年以上など)は重要なチェックポイントです。
・日本語能力について
業務遂行に必要な日本語能力があるか確認しましょう。
入社後の研修体制も整えておくことが望ましいです。
【ルート2】国内転職者の採用:すでに日本で働いている外国人を採用
国内転職者の採用は、すでに日本国内で就労ビザを持って働いている外国人を中途採用する方法です。
このルートは海外招聘に比べて期間が短く、即戦力として活躍が期待できます。
国内転職者の採用プロセスフロー

①採用面接
通常の中途採用と同様に面接を実施します。
ただし、在留資格の内容や在留期限の確認も併せて行います。
②在留資格・業務内容の確認
非常に重要なステップです。
現在持っている在留資格で、自社で予定している業務が行えるかを確認します。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている人が、単純労働を行うことはできません。
③内定・雇用契約締結
在留資格の確認が取れたら、内定を出し、雇用契約を締結します。
④申請準備
在留資格変更が必要な場合、または就労資格証明書を取得する場合は、必要書類を準備します。
⑤在留資格変更申請・または就労資格証明書取得
・在留資格の変更が必要な場合
例えば、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への変更など、在留資格そのものを変更する必要がある場合は、在留資格変更許可申請を行います。
・在留資格の変更が不要な場合
同じ在留資格のまま転職する場合でも、「就労資格証明書」を取得しておくことを強くお勧めします。
就労資格証明書は、新しい会社での業務内容が現在の在留資格で認められることを事前に証明する書類です。
これを取得しておけば、次回の在留期間更新時に安心です。
⑥許可
在留資格変更申請の場合は、審査期間は通常2週間~1か月程度です。
就労資格証明書の場合も同様の期間がかかります。
⑦入社・就労開始
許可が下りたら、入社・就労開始となります。
国内転職者採用の注意点
・在留資格の活動範囲を正確に理解する
同じ就労ビザでも、従事できる業務内容は限定されています。
不適合な業務を行わせると、資格外活動となり、外国人本人だけでなく企業側も罰則の対象となります。
・在留期限の管理
採用時点で在留期限が近い場合は、更新手続きのタイミングも考慮する必要があります。
・就労資格証明書の取得推奨
法的な義務ではありませんが、取得しておくことで、業務内容が在留資格に適合していることを事前に確認でき、更新時のトラブルを防げます。
・前職の退職手続き確認
前職を退職した際の届出義務(14日以内の所属機関に関する届出)が履行されているか確認しましょう。
【ルート3】留学生の新卒採用:日本の大学・専門学校卒業生を採用
留学生の新卒採用は、日本の大学や専門学校に在籍している留学生を新卒として採用する方法です。
日本の教育を受けているため、日本語能力が高く、日本の商習慣にも慣れているというメリットがあります。
留学生の新卒採用プロセスフロー

①採用面接
通常の新卒採用と同じように面接を実施します。
ただし、在留資格変更の可能性も考慮に入れて選考を進めます。
②専攻内容と職務内容の関連性の確認
これが最も重要なポイントです。
留学生の場合、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザへの変更が必要になります。
この変更審査では、大学・専門学校での専攻内容と、入社後の職務内容に関連性があるかが厳しくチェックされます。
例えば、
・経済学部卒業 → 営業職、事務職、マーケティング職などはOK
・情報工学専攻 → システムエンジニア、プログラマーなどはOK
・文学部卒業 → 単純労働はNG、通訳・翻訳業務などならOK
このように、専攻と職務の関連性が明確でないと、在留資格変更が不許可になる可能性があります。
③内定・雇用契約締結
専攻と職務の関連性に問題がないことを確認したうえで、内定を出し、雇用契約を締結します。
④申請準備
在留資格変更許可申請に必要な書類を準備します。
- 卒業証明書(または卒業見込み証明書)
- 成績証明書
- 雇用契約書
- 職務内容説明書
などが必要となります。
⑤在留資格変更申請
「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などへの在留資格変更許可申請を行います。
申請は、卒業前でも可能です。多くの場合、卒業の2~3か月前から申請を開始します。
⑥許可
審査期間は通常2週間~1か月程度です。
ただし、3月~4月の新卒入社シーズンは申請が集中するため、余裕を持った申請が必要です。
⑦卒業
大学・専門学校を卒業します。
在留資格変更の許可は卒業前に下りることもありますが、実際に就労を開始できるのは卒業後です。
⑧入社・就労開始
卒業後、いよいよ入社・就労開始となります。
留学生新卒採用の注意点
・専攻と職務の関連性が最重要
繰り返しになりますが、これが最も重要な審査ポイントです。
採用予定の職務内容が、留学生の専攻分野と関連していることを、具体的に説明できるように準備しておきましょう。
・学歴要件の確認
原則として、4年制大学卒業または専門学校(専門士の称号を取得)が要件となります。
ただし、職種によっては実務経験で代替できる場合もあります。
・申請時期の注意
3月卒業・4月入社の場合、遅くとも1月中には申請を開始することをお勧めします。
申請が遅れると、入社時期に間に合わない可能性があります。
・アルバイトから正社員への切り替え
留学生をアルバイトとして採用していた場合でも、新卒採用時には改めて専攻と職務の関連性が審査されます。
アルバイトで行っていた業務と、正社員として行う業務が異なる場合は特に注意が必要です。
3つの採用ルートの比較とポイント
ここまで、3つの採用ルートについて詳しく見てきました。
それぞれの特徴を比較表にまとめます。
【比較表】
| 項目 | 海外招聘 | 国内転職者 | 留学生新卒 |
| 手続き期間 | 3~4か月以上 | 2週間~1か月 | 2週間~1か月 |
| 主な申請 | 在留資格認定証明書交付申請 | 在留資格変更申請(必要な場合)または就労資格証明書取得 | 在留資格変更申請 |
| 日本語能力 | 個人差大(要確認) | 一定以上(就労経験あり) | 高い(日本の教育機関卒) |
| 即戦力性 | 専門スキル次第 | 高い(実務経験あり) | 育成が必要 |
| 主な審査ポイント | 学歴・職歴と職務内容の適合性 | 業務内容と在留資格の適合性 | 専攻と職務内容の関連性 |
| メリット | 海外の優秀な人材を直接採用できる | 即戦力として期待できる。日本での生活基盤あり | 日本語能力が高い。日本の商習慣を理解している |
| デメリット | 時間とコストがかかる。日本語能力に不安がある場合も | 転職市場での競争が激しい | 実務経験がない。専攻の制約がある |
※手続き期間については、申請内容や申請時期などにより異なります。
自社の採用ニーズに応じた最適なルートの選び方
・専門的な技術やスキルを持った人材が必要 → 海外招聘
海外の大学で専門教育を受けた人材や、特定分野の実務経験が豊富な人材を採用したい場合に適しています。
ただし、日本語研修や生活支援の体制を整える必要があります。
・即戦力として活躍できる人材が必要 → 国内転職者
日本での就労経験があり、日本のビジネスマナーや商習慣を理解している人材を採用したい場合に適しています。
ただし、優秀な人材は競争率が高いため、魅力的な待遇や職場環境の提供が重要です。
・長期的に育成していく人材が必要 → 留学生新卒
日本の教育を受けており、日本語能力が高く、自社の企業文化に馴染みやすい人材を採用したい場合に適しています。
ただし、専攻分野の制約があるため、採用職種が限定される場合があります。
複数のルートを組み合わせることも効果的
必ずしも1つのルートに絞る必要はありません。
例えば、
- エンジニア職は海外招聘で優秀な人材を確保
- 営業職は国内転職者や留学生から採用
といったように、職種や部署によって最適なルートを使い分けることも効果的です。
まとめ
- 外国人採用には「海外招聘」「国内転職者」「留学生新卒」の3つの主要ルートがある。
- 海外招聘は手続きに3~4か月以上かかるが、海外の優秀な人材を直接採用できる。
- 国内転職者の採用は比較的短期間で、即戦力として期待できるが、在留資格と業務内容の適合性確認が必須。
- 留学生の新卒採用は日本語能力が高いメリットがあるが、専攻と職務内容の関連性が厳しく審査される。
- 自社のニーズに応じて、最適な採用ルートを選択することが重要。
外国人労働者は、日本の労働力不足を補う重要な存在として、その役割がますます大きくなっています。
しかし、採用ルートによって必要な手続きや注意点が大きく異なるため、事前の準備と正確な知識が不可欠です。
今回は、外国人採用の3つのルートについて、それぞれの手続きの流れと注意点を解説してきました。
今後外国人を採用する際には、この記事を参考に、自社に最適な採用ルートを選択してください。
また、在留資格の申請は専門的な知識が必要となる場合も多いため、不安がある場合は、外国人雇用に精通した行政書士にご相談されることをお勧めします。
動画で解説
本動画は公表データを基にした一般的な情報提供を目的としています。
個別の在留資格該当性・許可可否は、雇用内容や本人の経歴により異なります。
※手続き期間については申請内容、申請時期によって異なります。

