外国人労働者を雇用している企業の規模別の動向について、この記事をご覧いただければデータに基づいた現状と傾向がわかります。
「どのくらいの規模の企業が外国人労働者を雇用しているの?」
「大企業と中小企業では外国人雇用の状況はどう違うの?」
「なぜ特定の規模の企業で外国人労働者が増えているの?」
「外国人を雇用している事業所数はどのように推移しているの?」
などの疑問をお持ちなので、当記事を見ていただいているのだと思います。
そんな「外国人雇用の企業規模別動向」に関する疑問点を、外国人雇用に精通した現役行政書士がデータを基に徹底解説します。
最後まで読んでいただければ、外国人雇用の現状と今後の展望が理解できると思います。
最後まで読んでいただいて「外国人雇用の動向」についての理解を深めていきましょう。
【筆者プロフィール詳細】
行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルティング・ファイナンシャルプランニング技能検定3級
長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、
行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。
また、企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。
外国人雇用事業所数と外国人労働者数の推移
まず、日本全体における外国人雇用の現状を、厚生労働省のデータから確認していきましょう。

出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ,出入国管理庁「在留外国人統計」
外国人雇用事業所数の推移
外国人を雇用している事業所数は、2008年から2025年にかけて大幅に増加しています。
2008年には76,811事業所でしたが、2025年には371,215事業所に達し、約4.8倍に増加しました。特に注目すべき点は以下の通りです。
・2008年から2019年までの11年間で約3.2倍(242,608事業所)に増加
・2020年のコロナ禍においても267,243事業所と増加傾向を維持
・2020年以降も毎年約2万〜3万事業所のペースで増加
・2025年には37万事業所を超え、過去最高を更新
この推移から、外国人雇用は日本企業にとって一時的なものではなく、構造的な必要性に基づいていることがわかります。

出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ,出入国管理庁「在留外国人統計」
外国人労働者数の推移
外国人労働者数も同様に大幅な増加を示しています。
2008年には485,398人でしたが、2025年には2,571,037人に達し、約5.3倍に増加しました。
・2008年から2019年までの11年間で約3.4倍(1,658,804人)に増加
・2020年以降も増加が続き、2025年には257万人を突破
・事業所数の増加率(4.8倍)よりも労働者数の増加率(5.3倍)が高い
事業所数の増加率よりも労働者数の増加率が高いということは、1事業所あたりの外国人雇用者数が増えていることを意味します。これは、外国人雇用が広がると同時に、既に雇用している企業がさらに雇用を拡大している状況を示しています。

出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ,出入国管理庁「在留外国人統計」
事業所規模別の外国人雇用動向
次に、事業所規模別にどのような企業が外国人を雇用しているのかを見ていきましょう。
外国人雇用事業所数の規模別分布
2025年のデータによると、外国人を雇用している事業所の規模別分布は以下の通りです。
| 事業所規模 | 事業所数 | 構成比 |
| 30人未満 | 234,086事業所 | 63.1% |
| 30〜99人 | 62,881事業所 | 16.9% |
| 100〜499人 | 35,636事業所 | 9.6% |
| 500人以上 | 10,863事業所 | 2.9% |
| 不明 | 27,749事業所 | 7.5% |
※2025年のデータより算出
この表から、外国人を雇用している事業所の約63%が従業員30人未満の小規模事業所であることがわかります。一方、500人以上の大規模事業所は約3%に過ぎません。
外国人労働者数の規模別分布
一方、外国人労働者数の規模別分布を見ると、事業所数の分布とは異なる傾向が見られます。
| 事業所規模 | 労働者数 | 構成比 |
| 30人未満 | 528,267人 | 20.5% |
| 30〜99人 | 450,694人 | 17.5% |
| 100〜499人 | 531,027人 | 20.7% |
| 500人以上 | 593,502人 | 23.1% |
| 不明 | 467,547人 | 18.2% |
※2025年のデータより算出(グラフのエリア部分より読み取り)
この表から、外国人労働者の雇用は事業所数ほど小規模事業所に集中していないことがわかります。500人以上の大規模事業所は事業所数では約3%ですが、労働者数では約23%を占めています。
規模別の1事業所あたり平均雇用者数
事業所数と労働者数のデータから、1事業所あたりの平均外国人雇用者数を算出すると、以下のような傾向が見られます。
| 事業所規模 | 1事業所あたり平均雇用者数 |
| 30人未満 | 約2.3人 |
| 30〜99人 | 約7.2人 |
| 100〜499人 | 約14.9人 |
| 500人以上 | 約54.6人 |
事業所規模が大きくなるほど、1事業所あたりの外国人雇用者数が多くなる傾向が明確です。
なぜ特定規模の企業で外国人労働者が増加しているのか
次に、なぜ特定の規模の企業で外国人労働者が増加しているのか、その背景要因を分析していきます。
小規模事業所(30人未満)での増加要因
小規模事業所で外国人雇用が増加している主な理由は以下の通りです。
(1) 深刻な人手不足への対応
小規模事業所は、日本人の採用が特に困難な状況にあります。大企業と比べて知名度や待遇面で劣るため、日本人の応募が少なく、外国人労働者に活路を見出す企業が増えています。
(2) 技能実習生や特定技能外国人の受入れ
小規模事業所では、技能実習生や特定技能外国人の受入れが進んでいます。特に製造業、建設業、農業、介護などの分野で顕著です。これらの在留資格は、中小企業でも比較的受入れやすい制度設計となっています。
(3) 地方における労働力確保
地方の小規模事業所では、若年層の都市部への流出により労働力不足がより深刻です。外国人労働者は、地方における貴重な労働力として位置づけられています。
中規模事業所(30〜499人)での増加要因
中規模事業所での外国人雇用増加の背景には、以下の要因があります。
(1) 事業拡大に伴う労働力需要
中規模企業は、事業の成長段階にあることが多く、労働力需要が旺盛です。日本人だけでは必要な人員を確保できないため、外国人労働者の採用を積極化しています。
(2) 多様な在留資格への対応力
中規模企業は、技能実習生や特定技能外国人に加え、技術・人文知識・国際業務などの専門的な在留資格の外国人も採用できる体制を整えつつあります。
(3) グローバル化への対応
海外展開を視野に入れている中規模企業では、外国人社員を戦略的に採用し、将来的な海外拠点の運営や海外取引の拡大に備えています。
大規模事業所(500人以上)での増加要因
大規模事業所では、以下の理由で外国人雇用が進んでいます。
(1) 多様性推進と組織力強化
大企業は、ダイバーシティ経営の一環として外国人採用を推進しています。異なる文化的背景を持つ人材を登用することで、イノベーション創出や組織の活性化を図っています。
(2) グローバル事業展開の必要性
海外に複数の拠点を持つ大企業では、グローバル人材の確保が経営戦略上不可欠です。外国人社員は、海外拠点とのブリッジ役や、海外市場への参入における重要な戦力となっています。
(3) 高度人材の獲得競争
IT、研究開発、金融などの分野では、グローバルな人材獲得競争が激化しています。大企業は、優秀な外国人人材を確保するため、競争力のある待遇を提示し、積極的に採用しています。
(4) 受入体制の充実
大企業は、外国人社員のための研修制度、住宅支援、日本語教育など、受入体制が整っています。これにより、外国人労働者にとって働きやすい環境が構築されており、採用が円滑に進んでいます。
企業規模別の外国人雇用戦略の違い
企業規模によって、外国人雇用の目的や戦略は大きく異なります。
小規模事業所の戦略
小規模事業所の外国人雇用戦略の特徴は以下の通りです。
・主な目的:労働力不足の補填
・主な在留資格:技能実習、特定技能
・業種:製造業、建設業、農業、介護、飲食業など
・採用方法:監理団体や登録支援機関を通じた受入れが中心
・課題:言語の壁、文化的差異への対応、受入体制の整備
中規模事業所の戦略
中規模事業所は、以下のような戦略で外国人を雇用しています。
・主な目的:事業拡大のための人材確保、将来的なグローバル展開への布石
・主な在留資格:技能実習、特定技能、技術・人文知識・国際業務
・業種:製造業、IT、商社、サービス業など
・採用方法:直接採用と支援機関の併用
・特徴:外国人社員のキャリアパスを整備し始める段階
大規模事業所の戦略
大規模事業所の外国人雇用戦略は、より戦略的です。
・主な目的:グローバル事業展開、イノベーション創出、ダイバーシティ推進
・主な在留資格:技術・人文知識・国際業務、高度専門職、企業内転勤
・業種:製造業、IT、金融、商社、研究開発など
・採用方法:グローバル採用、海外大学でのリクルーティング、ヘッドハンティング
・特徴:充実した受入体制、キャリア開発プログラム、グローバル人事制度
まとめ
本記事では、外国人労働者を雇用する企業の規模別動向と、その増加の背景について解説してきました。
外国人雇用事業所数は、2008年の76,811事業所から2025年には371,215事業所へと約4.8倍に増加し、外国人労働者数も485,398人から2,571,037人へと約5.3倍に増加しました。
事業所規模別に見ると、事業所数では小規模事業所(30人未満)が約63%を占める一方、労働者数では大規模事業所(500人以上)の割合が高く、約23%を占めています。これは、大規模事業所ほど1事業所あたりの雇用者数が多いことを示しています。
外国人労働者が増加している背景には、規模別に異なる要因があります。小規模事業所では深刻な人手不足への対応、中規模事業所では事業拡大とグローバル化への対応、大規模事業所ではダイバーシティ推進とグローバル事業展開の必要性が主な要因となっています。
今後も日本の労働力不足は続くと予想され、外国人労働者への依存度は高まることが見込まれます。企業は、自社の規模や事業戦略に応じた外国人雇用戦略を策定し、適切な受入体制を整備していくことが重要です。
外国人雇用に関する在留資格の申請や受入体制の構築については、専門家である行政書士にご相談いただくことをお勧めします。


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