外国人雇用の成功を左右する3つの鍵:在留資格許可の「該当性・基準適合性・相当性」を徹底解説

在留資格

外国人を雇用する際、「在留資格の申請が通るかどうか不安」という声を多く耳にします。実は、在留資格の許可には明確な3つの判断基準があり、それが「該当性」「基準適合性」「相当性」です。

この3つの要件を正しく理解していないと、せっかく優秀な外国人材を見つけても、申請が不許可になってしまう可能性があります。本記事では、入管法に基づく在留資格許可の仕組みを、実務経験豊富な行政書士が中小企業の経営者・人事担当者向けにわかりやすく解説します。

【筆者プロフィール詳細】

行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルティング・ファイナンシャルプランニング技能検定3級
 長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。また、企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。

在留資格許可の3要件とは

外国人が日本で働くためには、適切な在留資格を取得する必要があります。この在留資格の許可を得るためには、出入国管理及び難民認定法(入管法)で定められた3つの要件をすべて満たさなければなりません。それが「該当性」「基準適合性」「相当性」です。

これらは、申請が許可されるかどうかを左右する最も重要な判断基準です。どれか一つでも欠けていると、申請は不許可となってしまいます。それぞれの要件について、具体的に見ていきましょう。

第1の要件:該当性(活動と在留資格の一致)

該当性とは何か

該当性とは、外国人が日本で行おうとする活動や、その身分・地位が、入管法に定められたいずれかの在留資格の内容に合致しているかどうかを判断する基準です。

簡単に言えば、「この働き方に、このビザでOKか?」という問いに答えるものです。日本には約30種類の在留資格があり、それぞれが特定の活動内容や身分を想定しています。

該当性の具体例

実際の業務でよく見られる該当性の例を見てみましょう。

  • ITエンジニアとして雇用する場合:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当します。プログラマーやシステムエンジニアなどの職種が対象です。
  • 会社を経営する場合:「経営・管理」の在留資格に該当します。日本で事業を立ち上げ、経営者として活動する場合です。
  • 大学で勉強する場合:「留学」の在留資格に該当します。就労目的ではなく、学業が主な活動となります。

行おうとする活動が、どの在留資格にも当てはまらない場合、原則として日本に在留することはできません。これが該当性の重要性です。

該当性の法的根拠

該当性は、入管法第2条の2および別表第一・別表第二に定められています。この条文では、在留資格ごとに「どのような活動ができるか」「どのような身分・地位に該当するか」が明確に規定されています。

企業が外国人を雇用する際には、まず「その業務内容がどの在留資格に該当するのか」を正確に判断することが出発点となります。

第2の要件:基準適合性(上陸許可基準のクリア)

基準適合性とは何か

基準適合性とは、該当性のある活動をしようとする外国人が、その在留資格ごとに法務省令で定められた「上陸許可基準」に適合しているかどうかを判断する基準です。

該当性が「活動内容のマッチング」だったのに対し、基準適合性は「その活動を行うために必要な具体的なスキルや条件を満たしているか」という技術的・資格的な要件です。簡単に言えば、「この条件、審査基準クリアしてる?」という問いに答えるものです。

基準適合性の具体例

在留資格ごとに求められる基準は異なります。代表的な例を見てみましょう。

  • 「技術・人文知識・国際業務」の場合:大学卒業以上の学歴、または関連分野での実務経験(通常3年以上)が必要です。専門学校卒業の場合は、専攻分野と業務内容の関連性が厳しく審査されます。
  • 「技能」の場合(例:外国料理のコック):特定の技能について10年以上の実務経験が求められることがあります。たとえば、中華料理のコックとして就労する場合、中華料理の調理経験が10年以上必要です。
  • 「留学」の場合:一定以上の日本語能力(日本語能力試験N2レベルなど)や、学費・生活費を支弁できる経済力の証明が求められます。

重要なポイントは、該当性があっても基準適合性を満たしていなければ許可されないということです。たとえば、ITエンジニアとして雇用したくても、大学で情報系の専攻をしていない場合や、関連する実務経験がない場合は、基準適合性を満たさず不許可となる可能性があります。

基準適合性の法的根拠

基準適合性は、入管法第7条第1項第2号および法務省令(上陸許可に関する省令)に定められています。これらの規定により、在留資格ごとに具体的な学歴要件、実務経験年数、資格などが明示されています。

注意すべき点として、すべての在留資格に上陸許可基準が定められているわけではありません。たとえば「日本人の配偶者等」などの身分系在留資格には、基準適合性の要件はありません。

第3の要件:相当性(在留継続の妥当性)

相当性とは何か

相当性とは、「在留資格の変更許可申請」や「在留期間の更新許可申請」を行う際に、引き続き日本に在留することが適当であると認められる「相当な理由」があることを指します。

簡単に言えば、「制度的にも人間的にも、日本に馴染んでるか?」という問いに答えるものです。この要件は法務大臣の裁量に委ねられる部分が大きく、これまでの在留状況や今後の在留の必要性などが総合的に判断されます。

相当性で審査される4つの視点

相当性は、以下の4つの視点から判断されます。

  • 安定性:申請者やその活動が、日本の社会や公共の利益に対して脅威とならないかという観点です。前科の有無、素行の良否などが審査されます。
  • 継続性:申請者が日本で現在の活動を安定して継続できるか、また今後もその活動を継続していく意思と能力があるかという観点です。たとえば、雇用契約が更新される見込みがあるか、事業が継続的に運営されているかなどが見られます。
  • 必要性:申請者が引き続き日本に在留すること、または特定の在留資格に変更することについて、客観的に見て妥当な理由や合理性があるかという観点です。
  • 信憑性:申請内容や提出された資料、申請者の主張が、どれだけ信頼できるか、真実性があるかという観点です。虚偽の申請や資料の偽造は厳しく審査されます。

相当性で考慮される具体的な要素

実務上、以下のような要素が総合的に判断されます。

  • 在留資格に応じた活動を適切に行っていたか:留学生であれば学業に専念し出席率も良好であったか、就労ビザであればその職務に実際に就いていたかなどです。
  • 素行が不良でないか:法令遵守は当然として、交通違反や軽微な犯罪歴なども影響する可能性があります。不法就労に関与していないかも審査されます。
  • 独立して生計を営むに足りる資産または技能があるか:日本で安定した生活を送るための経済的基盤があるか、生活保護などの公的扶助に頼る可能性がないかが見られます。
  • 雇用・労働条件が適正であるか:就労している場合、日本の労働関係法令に違反するような不適切な労働条件ではないかが審査されます。
  • 納税義務を履行しているか:所得税や住民税、年金、健康保険などの公的義務を適切に果たしているかが確認されます。
  • 入管法に定める届出等の義務を履行しているか:住所変更などの届出を怠っていないかもチェックされます。

相当性の法的根拠

相当性は、入管法第20条第3項(在留資格の変更)および第21条第3項(在留期間の更新)に定められています。これらの条文では、「在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」に限り、許可できると規定されています。

相当性は、主に在留資格の変更や更新時に重要となる要件です。新規入国時には直接的な要件ではありませんが、一度日本に入国した後は、この相当性が常に問われることになります。

実務で押さえるべきポイント

3要件はすべて満たす必要がある

該当性、基準適合性、相当性の3要件は、どれか一つでも欠けていると申請は不許可となります。たとえば、該当性と基準適合性を満たしていても、過去に素行不良があり相当性が認められなければ許可されません。

企業が外国人を雇用する際には、採用段階からこの3要件を意識し、すべての要件を満たせる人材を選定することが重要です。

在留資格ごとに要件は異なる

在留資格は約30種類あり、それぞれ該当性や基準適合性の内容が異なります。たとえば、技術系の仕事と営業系の仕事では、求められる学歴や経験が異なる場合があります。

外国人を雇用する際には、その業務内容に最も適した在留資格を選択し、その在留資格の要件を正確に把握することが不可欠です。

更新・変更時には相当性が特に重要

在留期間の更新や在留資格の変更を申請する際には、相当性が特に重視されます。日頃から法令を遵守し、適切な雇用管理を行うことが、更新・変更時の許可につながります。

企業としては、外国人従業員が納税義務を果たしているか、社会保険に加入しているか、労働条件が適正かなど、日常的に確認する体制を整えることが重要です。

専門家への相談も検討を

在留資格の申請は専門的な知識を要する手続きです。特に初めて外国人を雇用する企業や、複雑なケースの場合は、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。

専門家は、個別の事情に応じて最適な在留資格を提案し、申請書類の作成や審査対応をサポートします。不許可リスクを最小限に抑えるためにも、専門家の活用は有効な選択肢です。

まとめ

在留資格の許可を得るためには、該当性、基準適合性、相当性の3要件をすべて満たす必要があります。

  • 該当性:活動内容と在留資格が一致しているか
  • 基準適合性:学歴や実務経験などの上陸許可基準を満たしているか
  • 相当性:在留継続が妥当であると認められる理由があるか

これらの要件を正しく理解し、採用段階から意識することで、外国人雇用の成功率を高めることができます。中小企業にとって、優秀な外国人材の確保は競争力強化の鍵となります。本記事で解説した3要件を踏まえ、適切な外国人雇用を実現していきましょう。

不明点や個別の相談がある場合は、入管業務に精通した行政書士にお気軽にご相談ください。外国人雇用応援隊は、中小企業の外国人雇用を全力でサポートします。

動画で解説

本動画は公表データを基にした一般的な情報提供を目的としています。
個別の在留資格該当性・許可可否は、雇用内容や本人の経歴により異なります。

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