資格外活動許可があれば何でも働ける?入管的にはNGなケースを行政書士が解説

トラブル

「資格外活動許可があれば、あとは何でも働かせていいのですよね?」

留学生の採用相談を受けるとき、こういったご質問を企業担当者の方からよくいただきます。「許可」という言葉には、どこか「お墨付き」のような安心感があるのでしょう。その気持ちはよくわかります。

しかし、資格外活動許可はあくまで「一定の条件のもとで就労を認める」許可であり、何でも自由に働かせてよいという白紙委任ではありません。条件を一つでも外れると、たちまち「不法就労」となり、雇用した企業側も刑事罰の対象になります。

本記事では、留学生など資格外活動許可を持つ外国人を雇用する際に、入管(出入国在留管理庁)的にNGとなるケースを行政書士の視点から具体的に解説します。外国人を採用予定の企業担当者、留学生アルバイトを雇用中の企業のご担当者に、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

外国人が日本で働くためには、就労が認められた在留資格が必要です(外国人就労ビザの種類と要件)。留学生はその例外として、本来「勉強すること」を目的とした「留学」の在留資格で在日しており、原則として就労は認められていません。

【筆者プロフィール】

行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルタント・ファイナンシャルプランニング技能検定3級。長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。

資格外活動許可とは何か?制度の概要

日本に在留する外国人は、入管法別表第1または第2に定められた在留資格に応じた活動しか行うことができません。入管法別表第1に定められた在留資格(留学・技術・人文知識・国際業務・特定技能など)は、日本で行う活動の内容に応じて許可されるものであり、それぞれ行うことができる活動の範囲が定められています。

そのため、許可された活動の範囲を超えて、収入を伴う事業の運営や報酬を受ける活動を行う場合には、あらかじめ資格外活動の許可を受けることが必要です(入管法第19条第2項)。

資格外活動許可は留学生だけの制度ではありません。技人国・特定活動など別表第1の在留資格を持つ外国人が、許可された範囲外で報酬を得る活動(フリーランス・副業・兼業を含む)を行う場合にも必要となります。

この許可を受けずに就労した場合は「資格外活動」として不法就労に該当し、外国人本人だけでなく雇用した企業側も処罰の対象となります。詳しくは後述の「雇用した企業が問われる責任」をご参照ください。

資格外活動許可は「何でもOK」ではなく、「一定の条件のもとで報酬を受ける活動を認める」許可です。条件を一つでも外れた瞬間に不法就労となります。

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包括許可と個別許可の違い

留学生が持つ資格外活動許可には、大きく2種類あります。

種別内容確認方法
包括許可留学ビザ申請時に同時申請が必要。許可された場合、在留カード裏面に記載(自動付与ではない)在留カード裏面「資格外活動許可(原則週28時間以内)」の記載を確認
個別許可特定の職種・雇用主に限定して個別申請で取得資格外活動許可書(紙)を本人が保持。記載内容を確認

なお、包括許可は留学ビザ取得時に自動で付与されるわけではありません。留学ビザの申請と同時に資格外活動許可の申請を行う必要があり、申請し忘れた場合は別途入管に申請しなければなりません。採用前に在留カード裏面の記載を必ず確認してください。

ほとんどの留学生アルバイトは包括許可に基づいて働いています。問題は、この「一定の条件」が何かを雇用側が正確に把握していないことです。以下で、よくあるNGケースを具体的に見ていきましょう。

出入国在留管理庁「資格外活動許可」

「資格外活動許可の申請手続きや許可基準の詳細は、出入国在留管理庁「資格外活動許可」をご参照ください。」

入管的にNGな5つのケース

NGケース① 週28時間を超えて働かせる

最も典型的、かつ多発するNGケースです。「留学」ビザの留学生が就労できるのは、原則として週28時間以内です。これは1日の上限ではなく、1週間の合計時間です。

【週の区切りに注意】

入管実務では、週の区切りは月曜〜日曜ではなく、日曜日〜土曜日で計算します。シフトを組む際は週をまたぐシフトに特に注意が必要です。

【複数の掛け持ちは合算で判断される】

留学生が複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、すべての職場の合計時間が28時間以内でなければなりません。A社で20時間・B社で15時間働けば合計35時間となり、A社・B社の両方が不法就労助長罪に問われうる状況になります。採用時に「他でアルバイトをしているか」を必ず確認してください。

長期休暇中は上限が変わる】

期間就労上限
通常期(授業期間中)週28時間以内
長期休業期間中1日8時間・週40時間まで

長期休業期間とは、学校が正式に定めた夏休み・冬休み・春休みを指します。テスト期間中・補講がある週は通常の28時間制限が適用されます。学校発行の長期休業証明書を取得しておくことをお勧めします。

NGケース② 風俗営業・性風俗特殊営業で働かせる

これは時間数に関係なく、絶対にNGです。

資格外活動許可の包括許可には、明確な業種制限があります。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)に規定される施設では、たとえ1時間であっても留学生を就労させることはできません。

  • キャバレー・ナイトクラブ・スナックなどの接待飲食店(1号営業)
  • パチンコ店・ゲームセンターなど(4号・5号営業)
  • 性風俗特殊営業(デリヘル・ソープランドなど)

「接客はしない、皿洗いだけ」という理屈も通りません。業種(その店が風俗営業の許可を持っているかどうか)で判断されるためです。

飲食業の採用担当者は特に注意が必要です。同じ飲食店でも、深夜に接待行為を行う店舗は風営法の規制対象となります。自社が風営法の許可を受けているかどうかを事前に確認してください。

NGケース③ 卒業・退学後もアルバイトを続けさせる

「うちのバイトが先月学校を卒業したけど、在留期限まであと半年あるからそのまま働いてもらって大丈夫?」

これは完全にNGです。

資格外活動許可は「留学」という在留資格に付随するものです。在学していることが前提条件であり、卒業・退学した時点で留学ビザの在留目的は失われます。在留カードの有効期限が残っていても、許可の効力はすでにありません。

実務上よくあるケースは以下のとおりです。

  • 卒業式後もシフトに入り続けている
  • 退学したが在留期限まで数か月あるため「まだ大丈夫」と本人・企業ともに勘違いしている
  • 就職活動中で学校との在籍関係が曖昧になっている

卒業後に合法的に就労を続けるためには、就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)への在留資格変更許可申請が必要です。内定先への就職前に引き続き働かせたい場合は、「特定活動(就職活動)」への変更が必要になるケースもあります。

卒業後に合法的に就労を続けるためには、就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)への在留資格変更許可申請が必要です。内定先への就職前に引き続き働かせたい場合は、「特定活動(就職活動)」への変更が必要になるケースもあります。

NGケース④ 在留資格がない外国人・オーバーステイの外国人を雇用する

当然のように思えますが、「外国人なら資格外活動許可を持っているものだと思っていた」というご相談が実際に存在します。在留カードの確認は雇用主の義務です。

在留カードの確認時に特に注意すべき点は以下のとおりです。

確認項目確認箇所
在留資格の種別カード表面「在留資格」欄
在留期限カード表面「在留期間満了日」欄
資格外活動許可の有無カード裏面「資格外活動許可」欄
カードの真偽ICチップ読み取り(スマートフォンのNFC機能等)

また、「就労不可」と記載されている在留資格(家族滞在・文化活動・短期滞在など)の外国人は、個別に資格外活動許可を取得していない限り、就労させることはできません。

在留カードの裏面に「資格外活動許可」の記載がない場合、その方は就労できません。記載があっても「許可された範囲内」での就労に限られます。

NGケース⑤ 許可された活動範囲を超えた業務に就かせる

個別許可の場合、許可された職種・雇用主・時間数が限定されています。「A社での事務補助・週20時間以内」という許可であれば、B社での勤務はもちろん、A社内であっても販売業務など許可外の業務への従事は認められません。

包括許可の場合も同様です。たとえば、実態がエンジニアリング業務やデザイン業務であるにもかかわらず、「アルバイト」という形で資格外活動許可でカバーしようとするケースには注意が必要です。本来「技術・人文知識・国際業務」ビザが必要な業務内容であれば、資格外活動許可の範囲外とみなされます。

業務内容の「実態」で判断されます。肩書きや契約形態ではなく、実際にどのような仕事をさせているかが審査のポイントです。

雇用した企業が問われる責任

外国人が不法就労した場合、罰則を受けるのは外国人本人だけではありません。雇用した企業・事業主も「不法就労助長罪」(入管法第73条の2)として処罰の対象になります。

対象罰則
不法就労助長(雇用者側)3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方
不法就労(外国人本人)3年以下の懲役もしくは禁錮、または300万円以下の罰金

「知らなかった」は原則として免責されません。ただし、在留カードを確認するなど必要な措置を講じていた場合には善意の無過失として免責される旨が法律上規定されています(入管法第73条の2第2項)。だからこそ、在留カードの確認と記録保管が重要なのです。

不法就労助長罪は、故意だけでなく、過失(確認を怠った場合)でも問われる場合があります。「忙しくて確認できなかった」という言い訳は通らないと考えてください。

企業が今すぐできる確認チェックリスト

以下を採用・雇用管理のフローに組み込むことをお勧めします。

【採用時の確認事項】

  • 在留カード(表面)で在留資格・在留期限を確認し、コピーを保管した
  • 在留カード(裏面)で資格外活動許可の有無と内容を確認した
  • 他の職場でのアルバイト状況を確認・申告させた
  • 週の合計勤務時間が28時間以内に収まるシフトを設計した
  • 自社の業種が風営法の規制対象外であることを確認した

【雇用継続中の管理事項】

  • 在留期限の更新状況を定期的に確認している(3か月に1回程度が目安)
  • 在学証明書を定期提出させている(学期ごとが理想)
  • 長期休業期間の証明書(学校発行)を取得し、時間数の根拠を保管している
  • 週28時間を超えないようシフト表で管理・記録している

確認した在留カードのコピーとシフト実績の記録は、万が一の際に「善意の無過失」を証明する重要な証拠となります。必ず保管しておきましょう。

まとめ

資格外活動許可は「条件付きの就労許可」です。許可証があること自体は雇用の出発点に過ぎず、その後の運用管理こそが適法雇用の要です。

特に注意していただきたいのは次の3点です。

  • 週28時間ルールは厳守(長期休暇中の特例も正確に把握する)
  • 卒業・退学後は即座に就労不可(在籍確認を定期的に行う)
  • 在留カードの確認と記録保管を徹底する(善意の無過失として免責されるために)

「なんとなく大丈夫だろう」という感覚での運用が、ある日突然、刑事罰や行政処分につながることがあります。外国人の採用に関してお困りのことがあれば、ぜひ一度、専門家にご相談ください。

留学生の資格外活動許可を正しく理解したうえで採用を進めることが、企業にとってのリスク管理の第一歩です。留学生採用にとどまらず、海外招聘や国内転職など、自社の状況に合った外国人採用の3つの方法についても合わせてご確認ください。