不許可2回・短期滞在経由でも逆転許可——採用業務の見直しが決め手となった技術・人文知識・国際業務の全記録

許可事例

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技術・人文知識・国際業務
不許可2回
短期滞在経由
業務内容変更
最終許可

不許可2回・短期滞在経由でも逆転許可——採用業務の見直しが決め手となった技術・人文知識・国際業務の全記録

行政書士 加治屋事務所|申請取次行政書士による対応事例

最終結果:全許可
1回目:自己申請による更新申請 2025年7月 不許可(所属機関届出義務違反)
2回目:前任行政書士による変更申請 2025年12月19日 不許可(在留資格該当性なし)
3回目:当事務所による変更申請(再々申請) 2025年12月26日申請 → 2026年2月17日許可

ケース概要

国籍
ベトナム
性別・生年月日
女性・1994年10月4日
最終学歴
横浜デザイン学院 専門課程総合日本語科(専門士)
保有資格・検定
日本語能力試験N2 / 全経簿記能力検定 商業2級・工業2級
就職先業種
屋外広告・看板製作・デザイン・印刷業(設立1969年・従業員12名・資本金1,000万円)
採用予定業務
経理業務(仕訳入力・現金預金管理・請求書発行・決算補助 等)
月額給与
250,000円
当事務所への依頼日
2025年12月22日
難易度
高(不許可歴2回・短期滞在からの変更・設立間もない観点ではないが審査加重)
担当
行政書士 加治屋事務所(申請取次行政書士)

BACKGROUND

申請人の背景と来日経緯

技能実習生として来日——その後の学び直しと再来日

申請人は2015年2月に技能実習生として来日し、縫製工場で約3年間、婦人服・子供服の製造業務(ミシン作業・検品)に従事しました。2018年2月に実習を終えて帰国後、日本への再来日を見据え、語学力の強化を決意します。

2019年10月に日本語学校(飛鳥学院)へ入学し、2021年3月に修了。その後、横浜デザイン学院専門課程の総合日本語科実用日本語コースへ進学し、貿易実務・簿記・ビジネス日本語・日越通訳・翻訳・PCスキルなどを修得し、2023年3月に専門士として卒業しました。

卒業後は技術・人文知識・国際業務の在留資格を取得し、都内企業にてベトナム人スタッフの通訳・生活サポート業務に契約社員として従事(2023年4月〜2024年7月)。その後、神保町のフランス料理店で料理と経理業務を担当しました(2024年11月〜2025年6月)。

株式会社◆◆広告社への転職と内定

2025年7月、申請人は屋外広告・看板製作会社である株式会社◆◆広告社から内定を受けました。同社は1969(昭和44)年設立の老舗企業で、屋外広告・看板の計画立案・デザインから製作・設置までを一貫して手掛け、近年はデジタルサイネージやLED電子看板にも事業を拡大しています。申請人はここで専門性を活かした就労を見込んでいました。

TROUBLE

不許可に至った経緯——2度の審査と判断

1回目の不許可:自己申請による更新申請

申請人は在留期限(2025年7月4日)の前に自ら更新申請を試みましたが、不許可となりました。

⚠ 不許可理由(1回目)

入管法に定める届出等の義務について、所属機関が変更となった際に「所属機関に関する届出」を届出していなかった。

転職後14日以内に届出が必要であることを知らず、義務を放置していたことが理由でした。不許可時点で在留期限が7月4日であり、特例期間(31日間)が残っている状況でした。

2回目の不許可:前任行政書士による変更申請

前任の行政書士が入管に相談のうえ、特例期間中に「短期滞在」への変更申請を行い、その後短期滞在から技人国への変更申請を実施しました。しかし、2025年12月19日に再度不許可となりました。

⚠ 不許可理由(2回目)

在留資格の「該当性がない」との判断。

前任が作成した採用理由書には、申請人が「屋外広告・サインのデザインおよび施工管理業務を担当する」旨が記載されていました。しかし、申請人の専門学校での専攻(貿易実務・簿記・ビジネス日本語等)と、デザイン・施工管理という業務内容との間に論理的な結びつきが認められず、在留資格の該当性なしと判断されました。

👨‍💼
担当行政書士のコメント

前任の採用理由書を拝見したとき、問題の核心はすぐに見えました。「デザイン・施工管理」は申請人の学歴・職歴とはつながりが薄い。一方で、専門学校で簿記を学び、全経簿記検定も取得済み。フランス料理店でも経理業務を担当していた実績がある。これを「経理業務」として整理し直せば、該当性は確実に主張できると判断しました。

TIMELINE

申請から許可までの全経緯

  • 2023年4月
    技術・人文知識・国際業務ビザ取得・入社
    都内企業でベトナム人通訳・生活サポート業務に従事(契約社員)。
  • 2024年7月
    退職(正社員登用を目標に転職活動へ)
    正社員での就労を目指し転職。この際、転職後14日以内の届出義務を失念。
  • 2024年11月
    神保町フランス料理店に正社員入社(料理・経理業務)
    経理業務を中心に実務経験を積む。
  • 2025年6月
    退職
  • 2025年7月
    株式会社◆◆広告社から内定
    屋外広告・看板製作会社への転職内定。
  • 2025年7月 在留期限:7月4日
    【1回目不許可】自己申請による更新申請
    不許可理由:所属機関変更時の届出義務違反。特例期間31日が残存。
  • 2025年7月(特例期間中)
    前任行政書士へ依頼・特例期間→短期滞在へ変更申請
    入管へ相談のうえ、短期滞在への変更を経由する方針を採用。
  • 2025年12月19日
    【2回目不許可】短期滞在→技人国への変更申請
    不許可理由:在留資格の該当性なし。採用理由書の業務内容(デザイン・施工管理)と学歴の不一致が原因。特例期間2カ月。
  • 2025年12月22日
    当事務所へ申請依頼
    2回目の不許可から3日後に当事務所へ相談・受任。問題の核心を特定し、業務内容の変更を提案。
  • 2025年12月26日
    【3回目】採用理由書を全面改訂して再々申請
    業務内容を「デザイン・施工管理」から「経理業務」へ変更。採用企業と合意のうえ申請。依頼から4日でのスピード申請。
  • 2026年2月17日
    技術・人文知識・国際業務 在留資格変更許可
    申請から約53日で許可。不許可歴2回・短期滞在経由というハードルを越えての逆転許可。

KEY ACTION

逆転許可の決め手——業務内容の根本的な見直し

問題の本質:「学歴と業務内容のミスマッチ」

当事務所が受任後に最初に着手したのは、前任の採用理由書と申請人の学歴・職歴の精査です。すぐに浮かび上がったのは、採用理由書に記載された「デザイン・施工管理業務」という職務内容が、申請人の専門学校での学習内容と論理的につながっていないという点でした。

前任申請の問題点
専門学校での学習内容:貿易実務・簿記・ビジネス日本語・日越通訳・翻訳・PC
採用理由書の業務内容:屋外広告のデザイン、施工管理、商談補助、受発注処理

↓ 審査官の判断
「専門学校で学んだ内容が、担当予定の業務に活かされる根拠が見えない=在留資格の該当性なし」

一方で、申請人には全経簿記能力検定(商業2級・工業2級)の取得実績と、直前の職場(フランス料理店)での実務的な経理経験がありました。採用企業にも経理業務を担える人材への実際のニーズが存在していました。当事務所では企業担当者と面談のうえ、業務内容を「経理業務」に全面変更することを合意し、採用理由書を書き直しました。

採用理由書の改訂:変更前後の比較

項目 前任申請(2回目不許可) 当事務所申請(許可)
主な業務内容 屋外広告・サインのデザイン、施工管理、受発注処理 仕訳入力、現金・預金管理、売掛金・買掛金管理、請求書発行、決算補助、税理士との連携
在留資格該当性の根拠 デザイン学院卒業→デザイン業務(関連性が薄い) 専門学校での簿記学習+全経簿記検定取得→経理業務(明確な関連性)
基準適合性 記載あるが業務が曖昧 月額250,000円(日本人従業員と同等以上)・専門士による学歴要件クリア
届出義務への対応 反省の記載あるが形式的 知識不足による懈怠であること・今後の遵守誓約を具体的に明文化
結果 不許可(該当性なし) 許可(2026年2月17日)

採用理由書の構成(当事務所版)

採用理由書 主な構成と主張ポイント(要約)

第1 採用企業の概要と採用理由
設立1969年・資本金1,000万円・売上高1億5,380万円・従業員12名の老舗屋外広告業。事業多角化に伴う人材ニーズのなかで、申請人の経理能力と日本語力を評価して採用に至った経緯を記述。

第2 在留資格の該当性
横浜デザイン学院専門課程修了(専門士)・貿易実務・簿記を学習・全経簿記2級取得という学歴と資格が、仕訳入力・買掛金管理等の経理業務に直結することを論証。

第3 基準適合性
日本の専門学校を修了した専門士として学歴要件を充足。月額25万円は日本人従業員と同等以上であることを給与水準の観点から明示。

第4 相当性
届出義務の懈怠はルール認識不足によるものと明確に認め、今後の遵守誓約を記載。刑事処分・不法就労歴なし。生活資金の逼迫状況にも言及し、速やかな許可を求めた。

提出書類一覧

在留資格変更許可申請(3回目) 主な提出書類

  • 在留資格変更許可申請書
  • 採用理由書 全面改訂
  • 会社案内・全部事項証明書・決算報告書・源泉徴収法定調書
  • 労働条件通知書
  • 卒業証書(横浜デザイン学院)
  • 修了者が専門士と称することができる専修学校専門課程の一覧(令和7年3月現在)
  • 全経簿記能力検定 商業2級合格証・工業2級合格証
  • 日本語能力試験(N2)合格証
  • パスポート・在留カード
👨‍💼
担当行政書士のコメント

「デザイン学院を卒業したからデザイン業務ができる」という発想は一見自然ですが、この方の専攻は「総合日本語科」で、デザインそのものを学んでいたわけではありません。学んだのは簿記・貿易・語学です。その事実に正直に向き合い、申請人の強みを経理という軸に絞って組み立て直すことが、この案件の唯一の正解でした。不許可2回という重いハンデも、論理が整理されれば越えられる——そう確信しての申請でした。

LESSONS

この事例から学べるポイント

① 技人国ビザの審査における「在留資格の該当性」とは

技術・人文知識・国際業務の在留資格で最も厳しく審査されるのが「在留資格の該当性」です。採用後に担当する予定の業務が、申請人の学歴・職歴から得た専門的知識や技術の延長線上にあるかが問われます。

📌 在留資格該当性のチェックポイント
専門学校・大学等で何を学んだか(専攻・科目・資格)
↕ 論理的なつながりがあるか?
採用後に担当する業務内容(具体的かつ明確に記載されているか)

本件では「デザイン学院卒→デザイン業務」という組み合わせは一見すると整合しているように見えます。しかし実際の専攻が「総合日本語科(簿記・貿易・語学)」である以上、業務を「経理」に切り替えることで初めて学歴との整合性が生まれました。

② 転職時の「所属機関に関する届出」は14日以内の義務

入管法では、技人国ビザ等の就労系在留資格保有者が転職した場合、14日以内に入管への届出が義務づけられています。この義務を知らずに放置すると、本件のように更新・変更申請の「相当性」判断に悪影響を及ぼします。外国人を採用する企業は、入社時に必ずこの届出義務を説明しておくことが重要です。

③ 不許可後の再申請こそ根本原因の見直しが不可欠

不許可後の再申請で陥りやすい落とし穴
不許可の原因を正確に把握しないまま、同じ業務内容・同じ論理で再申請しても、同じ結果になるリスクが高い。「書類の体裁を整える」ことと「不許可の本質的な原因を解消する」ことは、まったく別の作業です。

④ 短期滞在からの変更申請は慎重な判断が必要

短期滞在から就労ビザへの変更は、「やむを得ない特別な事情」がある場合に限り認められます。特例期間から短期滞在を経由するルートは前任行政書士が選択した対応策ですが、このルートを取る場合でも、業務内容と学歴の整合性という本質的な問題が解消されない限り許可は下りません。


この事例から学ぶポイント

  • 在留資格の該当性は「採用業務と申請人の学歴・職歴の論理的なつながり」で審査される——業務内容の設定が申請の成否を左右する
  • 「デザイン学院卒=デザイン業務」という思い込みで申請すると、専攻が語学・簿記系であれば該当性なしと判断されるリスクがある
  • 申請人の資格・検定・職歴を丁寧に読み解くと、より確実な業務内容が見えてくる——本件では全経簿記検定が突破口になった
  • 転職後14日以内の「所属機関に関する届出」は法定義務。外国人採用企業は入社時に必ず説明を
  • 不許可2回・短期滞在経由という困難な状況でも、問題の本質を解消した申請書類を組み立て直せば逆転許可は可能
  • 採用企業との事前合意なく業務内容を設定することは危険。企業の実際のニーズと申請人の強みが一致する業務を探ることが重要
  • 届出義務の懈怠については、理由を明確にした上で反省と今後の遵守誓約を具体的に記載することで相当性の評価を補える

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