特定技能に移行できない!協議会未加入でも使える特定活動(移行準備)とは

飲食店で働く外国人スタッフ|特定活動 特定技能移行準備 在留資格

在留期限が迫っている企業担当者が今すぐ取るべき対応を解説

「採用したい留学生が特定技能の試験に合格しているのに、協議会に加入していないから特定技能の申請ができない…」

初めて特定技能外国人の受け入れを検討する企業担当者が、最も陥りやすいのがこの状況です。在留期限は刻々と迫り、せっかく採用内定まで進んだ外国人材を失ってしまうのではないかと焦りを感じている方も多いのではないでしょうか。

そんなときに活用できるのが「特定活動(特定技能1号移行準備)」という在留資格です。協議会加入の審査が完了していない状況でも、この在留資格を橋渡しに使うことで、外国人材の在留を合法的に継続し、特定技能への移行につなげることができます。

本記事では、飲食店がベトナム人留学生を採用するという実例をもとに、特定活動(特定技能1号移行準備)の要件・申請書類・手続きの流れ・よくある失敗パターンを、申請取次行政書士の視点から実務ベースで解説します。

「特定技能制度の概要については特定技能制度の基本ガイドで詳しく解説しています。

特定活動(移行準備)の解説に入る前に、特定技能制度の基本をおさらいしたい方は「特定技能制度とは?企業が知るべき外国人材受入れの完全ガイド」をあわせてご覧ください。

筆者プロフィール】

行政書士・申請取次行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルタント・ファイナンシャルプランニング技能検定3級。長年の総合人材サービス会社での経験を経て、在留資格申請を専門とする行政書士事務所を開業。企業・団体の外国人雇用に関する相談実績多数。特定技能・特定活動分野の複雑なケースにも豊富な対応実績あり。

今回の事例:飲食店×ベトナム人留学生のケース

まず、今回の記事のベースとなった実際のケースをご紹介します。「うちと同じ状況だ」と感じた担当者の方は、ぜひ続きを最後までお読みください。

項目内容
受入機関(雇用企業)都内飲食店(初めて特定技能外国人を受け入れる)
申請者ベトナム人女性(日本語学校に在籍中の留学生)
現在の在留資格留学(在留期限:5月1日)
特定技能の要件外食業特定技能1号技能測定試験 合格済み/国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)合格済み
雇用契約受入機関と締結済み(停止条件付き)
協議会の状況食品産業特定技能協議会への加入はこれから。通常の審査期間は1〜2ヶ月だが、現在は申請が非常に混み合っており加入証発行まで2〜3ヶ月程度かかる見込み(農林水産省公式サイトより)
問題の核心在留期限(5/1)までに協議会加入が完了しないため、このままでは特定技能1号への変更申請ができない
<span class="fz-16px"><span class="fz-18px">担当者</span></span>
担当者

特定技能で採用しようとして初めて協議会の存在を知りました。加入手続きを急いでいますが、在留期限の5月1日には間に合いそうにありません。せっかく試験も合格しているのに、このまま雇用できなくなってしまうのでしょうか…

このケースでは、受入機関が初めて特定技能外国人を受け入れるにあたり、食品産業特定技能協議会への加入が特定技能1号の申請要件であることを事前に把握していませんでした。ベトナム人女性本人は試験要件を満たしており、雇用契約も締結済みという状況でしたが、協議会加入完了前には特定技能の申請ができないため、在留期限内の手続きが困難な状態に陥っていました。

この状況を解決するのが、「特定活動(特定技能1号移行準備)」という在留資格です。協議会の加入手続きを進めながら、まず特定活動で在留を継続し、加入完了後に特定技能1号へ変更するという流れを取ります。

<span class="fz-18px">行政書士</span>
行政書士

協議会未加入のまま在留期限を迎えても、「特定活動(移行準備)」を橋渡しにすることで、外国人材の在留と就労を合法的に継続できます。

特定活動(特定技能1号移行準備)とは何か?制度の概要

特定活動(特定技能1号移行準備)とは、特定技能1号への在留資格変更を準備するための在留資格です。出入国管理及び難民認定法 別表第一の五に基づく特定活動(法務大臣が個別に指定する「告示外特定活動」)に位置づけられます。

今回の事例のように、受入機関が食品産業特定技能協議会などへの加入申請を行っているものの、審査・完了が在留期限に間に合わないケースで活用できる「橋渡し」の在留資格として設けられています。

出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動」

詳細な要件や書類一覧は、出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動」の公式ページでご確認ください。

「なお、特定活動には就労目的のものが複数あり、日本の大学卒業者向けの特定活動46号とは要件・目的が異なります。混同しないようご注意ください。」

主な制度仕様

項目内容
在留期間最長6ヶ月(延長不可)※令和6年1月9日以降の申請より従前の4ヶ月から延長
就労可否原則として前の在留資格(留学)に準じた就労が可能
更新原則不可(やむを得ない事情がある場合のみ1回限り認められる)
次のステップ協議会加入完了後、特定技能1号へ在留資格変更申請

 在留期間は「6ヶ月」が正確です。令和6年(2024年)1月9日以降の申請より、従前の「4ヶ月」から「6ヶ月」に延長されました(出入国在留管理庁)。「4ヶ月」と誤記している情報も散見されますが、現行制度では最長6ヶ月です。今回の事例でも、5月1日の在留期限から最長6ヶ月の特定活動が付与されるため、その期間内に協議会加入を完了させることが目標となります。

使える条件・使えない条件

この特定活動が「自社の状況に当てはまるかどうか」は、以下の表で確認してください。今回のベトナム人女性のケースを例として各条件を確認します。

区分詳細今回のケース
✅ 使える食品産業特定技能協議会への加入手続きを進めているが、完了していない加入申請をこれから行う段階(速やかに着手が必要)
✅ 使える外国人本人が特定技能への移行要件を満たしている外食業技能測定試験・JFT-Basic ともに合格済み ✅
⚠️ 注意在留期限までに特定技能申請が困難な「合理的な理由」を説明できること。受入れ機関が作成する説明書の「1」欄がその記述箇所となる協議会加入に時間を要することが理由。説明書でその経緯を適切に説明する必要あり
❌ 使えない外国人本人が特定技能への移行要件を満たしていない該当しない(両試験合格済みのため問題なし)
❌ 使えないすでに在留資格が失効している在留期限5/1まで在留中のため問題なし(期限前に申請が必要)

ベトナム人女性は外食業技能測定試験・JFT-Basicともに合格済みで、在留資格も有効期間内。受入機関は協議会加入申請をこれから行う段階ですが、「在留期限までに特定技能の申請が困難な合理的な理由がある」ことを説明書(受入れ機関が作成)の所定欄に適切に記述することで、特定活動(移行準備)の申請要件を満たすことができます。

申請に必要な書類一覧

申請書類は、外国人本人(申請者)に関するものと受入機関(雇用企業)に関するものに分かれます。以下は今回のケースを踏まえた標準的な書類一覧です。

書類名備考・今回のポイント
在留資格変更許可申請書出入国在留管理庁の所定書式を使用
写真(1葉)指定の規格を満たしたもの
パスポート・在留カード提示。在留期限(5/1)前に申請を完了させること
説明書(受入れ機関が作成)【重要】出入国在留管理庁の所定書式(Word)を使用。「1 在留期間の満了日までに特定技能1号への変更申請ができない事情」欄に、協議会加入に時間を要する経緯を具体的に記述する。許可の可否を左右する最重要書類
雇用契約書および雇用条件書等の写し停止条件付き雇用契約書。特定技能と同等の労働条件であることを確認
特定技能試験・日本語試験の合格証明書外食業特定技能1号技能測定試験合格証・JFT-Basic合格証を添付
協議会加入申請中の証明(任意)必須書類ではなく任意の補完資料。申請受理メール・申請番号通知書等があれば説明書の記述を裏付けるものとして添付できる

※ 出入国在留管理庁の公式書類一覧によると、この申請で求められる書類は①在留資格変更許可申請書、②写真、③パスポート・在留カード、④説明書(受入れ機関が作成)、⑤雇用契約書等、⑥技能試験・日本語試験の合格証明、の6点が基本です。受入れ機関の概要書(登記事項証明書・決算書等)は本申請の正式必要書類には含まれません。協議会加入申請中の証明は、必要に応じて添付できる任意の補完資料です(出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動」)。

申請から許可までの流れ

今回のケースでは在留期限が5月1日です。逆算してスケジュールを組み、余裕をもって動き始めることが最大のリスク対策です。

STEP内容目安期間(今回の場合)
STEP 1食品産業特定技能協議会への加入申請を即時実施・受理確認メールを保管今すぐ着手(受理まで〜2週間)
STEP 2行政書士へ依頼・書類収集開始(卒業見込み証明・試験合格証・雇用契約書等)並行して1〜2週間
STEP 3在留資格変更許可申請(留学→特定活動)を入管へ提出。申請取次資格者が対応するため企業・本人の来庁不要在留期限5/1より前に申請完了必須
STEP 4審査・許可(特定活動6ヶ月が付与される)1〜2ヶ月
STEP 5特定活動期間中に食品産業特定技能協議会への加入を完了させる通常1〜2ヶ月。現在は混雑により2〜3ヶ月程度の見込み
STEP 6特定技能1号(外食業)への在留資格変更申請STEP 5完了後にすみやかに着手

※ 食品産業特定技能協議会への加入審査は通常1〜2ヶ月を要します。ただし農林水産省の公式サイトでは「現在、加入申請が非常に混み合っており、必要書類の送付から加入証の発行まで2〜3ヶ月程度お時間をいただいている」と案内されています。年度末など申請が集中する時期はさらに時間がかかる場合があるため、できる限り早めの申請をお勧めします(出典:農林水産省「食品産業特定技能協議会について」)。

出入国在留管理庁「特定技能」

「特定技能1号の正式な要件については、出入国在留管理庁「特定技能」の公式ページもあわせてご確認ください。」

農林水産省「食品産業特定技能協議会について」

協議会の加入手続きや審査期間の最新情報は、農林水産省「食品産業特定技能協議会について」をご参照ください。

在留期限は5月1日です。STEP1(協議会加入申請)とSTEP2(書類収集)は今すぐ並行して進める必要があります。審査期間を考慮すると、4月中旬までには申請を完了させることが現実的な目標です。協議会加入の審査は通常1〜2ヶ月ですが、現在は申請が混み合っているため2〜3ヶ月程度かかる見込みです(年度末等の繁忙期は特に混雑)。それでも特定活動の6ヶ月以内に収まる見込みのため、スケジュール上は問題ありません。

<span class="fz-18px">行政書士</span>
行政書士

 申請取次行政書士が対応する場合、外国人本人・企業担当者が出入国在留管理局の窓口に出向く必要はありません。日中の業務を止めることなく手続きを進めることができます。

よくある失敗パターンと対策

実務で見てきた「しまった!」というケースを4つご紹介します。いずれも今回の事例のような状況で起きやすい失敗です。事前に確認しておいてください。

よくある失敗対策・ポイント
❶ 在留期限(5/1)ギリギリまで放置した審査に1〜2ヶ月かかります。今回は4月中旬を申請完了の目標に設定し、今すぐ動き出してください
❷ 協議会への加入手続きを後回しにした証明書類は必須ではないが、協議会加入を早期に進めることが特定技能への移行をスムーズにする。加入申請後の受理確認メールは事情説明の補完資料として有効なため保管しておくとよい
❸ 特定活動の6ヶ月以内に協議会加入が完了しなかった特定活動は延長不可です。協議会の加入進捗を入管スケジュールと連動させて定期的に確認してください
❹ 特定活動中に留学時代と異なる業務をさせてしまった特定活動(移行準備)中の就労は、原則として前の在留資格(留学)に準じた範囲内です。留学中と業務範囲が大きく変わる場合は事前に確認が必要です

今回のケースで特に注意すべきは❶です。在留期限の5月1日は目前に迫っています。「申請を急ぐ」ことが最優先であり、特定活動の申請が困難な合理的な理由を説明書の所定欄に的確に記述することが許可への鍵です。協議会への加入手続きも並行して速やかに進めてください。

申請取次行政書士に依頼するメリット

「書類を揃えれば自分でできるのでは?」とお考えの担当者の方もいらっしゃいます。しかし、今回のケースのように初めての特定技能受け入れ・在留期限が迫っている状況では、専門家への依頼が現実的な選択肢です。

メリット1:入管窓口への来庁が不要になる

申請取次資格を持つ行政書士が代理申請を行うため、外国人本人・企業担当者ともに出入国在留管理局の窓口に出向く必要がありません。繁忙期の飲食店にとって、平日昼間に担当者が長時間不在になる負担を回避できます。

メリット2:説明書(受入れ機関が作成)を適切に作成できる

今回のケースでは「受入機関が協議会の存在を知らなかった」という経緯があります。この事実を適切に説明し、「現在は加入手続きを進めており、特定技能への移行準備は整っている」という流れを論理的に構成することが、許可を得るうえで非常に重要です。

説明書は出入国在留管理庁の所定書式であり、「1 在留期間の満了日までに特定技能1号への変更申請ができない事情」欄への記述が審査の核心となります。単に「協議会加入が間に合わない」と書くだけでは不十分で、なぜ間に合わないのか・現在どのような対応をしているのか・今後の移行見通しはどうかを整合性をもって記述することが求められます。記載の的確さが許可率に直結します。

メリット3:複雑なケースにも対応可能

協議会未加入・在留期限間近・初めての特定技能受け入れが重なるケースは、一つひとつは対応可能でも、組み合わさると書類構成が複雑になります。申請取次行政書士であれば、ケースの実情を整理し、的確な書類構成で申請に臨むことができます。

まとめ

今回の事例をまとめると、以下のとおりです。

  • ベトナム人留学生は特定技能の試験要件をクリア済みで、雇用契約も締結済み
  • 受入機関(飲食店)が食品産業特定技能協議会の加入を知らなかったため、在留期限内の特定技能申請が困難な状況
  • 「特定活動(特定技能1号移行準備)」を橋渡しとして活用し、協議会加入完了後に特定技能1号へ変更するスキームを採用
  • 在留期限(5/1)から逆算し、今すぐ協議会加入申請と書類収集を同時進行することが最大のポイント

特定活動(特定技能1号移行準備)は、令和6年(2024年)1月9日以降の申請より在留期間が最長6ヶ月(従前は4ヶ月)に延長されましたが、それでも延長は原則不可と限られています。協議会加入完了のスケジュールを入管手続きと連動させた緻密な計画が、成否を分けます。 初めて特定技能外国人の受け入れを検討している企業担当者の方で、協議会加入や申請手続きに不安をお持ちの場合は、早めに専門家へご相談ください。