【許可事例】留年・オーバーワーク・無許可就労を乗り越え特定活動第46号を取得した台湾人女性の全記録

許可事例

許可事例
留学→特定活動46号
留年
オーバーワーク歴
無許可就労
最終許可

最終結果:全許可
第1章:留学 在留期間更新 2025年5月16日申請 → 2025年6月24日許可
資格外活動許可 2025年7月4日申請 → 2025年10月30日許可
第2章:特定活動46号 変更許可 2026年2月10日申請 → 2026年3月23日許可

国籍
台湾
性別・生年月日
女性・2002年8月2日(日本生まれ)
在籍大学
都内某大学
就職先
株式会社○○(中華料理○○)
在留期限
2025年5月18日
依頼日
2025年5月15日(期限3日前)
難易度
最高度(留年・オーバーワーク・無許可就労・期限直前・大学非協力)
担当
行政書士 加治屋事務所(申請取次行政書士)


第1章 留学 在留期間更新・資格外活動許可
BACKGROUND

申請人の背景

日本生まれの台湾籍留学生

申請人は台湾国籍ですが、2002年8月2日に日本で出生しています。
父親は適法に日本へ在留しており、母親も「家族滞在」の在留資格で日本に在住していました。
幼少期から日本での生活が長く、日本語・日本の文化を母語・母文化として育ちました。

その後、父親の仕事の都合により台湾へ帰国することになり、申請人は「家族滞在」から
「留学」へ在留資格変更を申請。2021年5月18日に変更許可を受け、
首都圏某大学への入学と日本での学業継続という道を選びました。

留年に至った経緯——2つの要因

原因① 家庭の事情による精神的影響
両親の台湾帰国後、初めての一人暮らしが始まりました。環境変化によるストレスが蓄積する中、
両親が離婚するとの連絡が入り、精神的に不安定な状態に陥りました。
頼れる家族が身近にいない孤独な環境が、学業への集中力を大きく低下させました。
原因② コロナ禍による孤立と無力感
両親が台湾へ帰国した後、離婚をしました。離婚を知った時期はコロナ禍の渡航制限下にあり、台湾へ帰国することも両親のもとへ駆けつけることもできませんでした。
大学入学後もすべての授業がオンラインとなり、キャンパスに通えずに友人もできない時期が続きました。
履修登録や学習習慣についても相談できる相手が誰もおらず、孤立感が深まりました。

卒業単位取得計画

単位取得状況
卒業要件単位数
124単位
修得済単位数
80単位
不足単位数
44単位
2025年度前期
26単位(履修登録済)
2025年度後期
20単位(履修登録予定)
卒業見込証明書
大学より発行済
PROCESS

申請に至るまでの経緯

前任行政書士の書面がきっかけで大学が在籍証明を拒否

留年が決定した申請人は、前任の行政書士を通じて大学へ在籍証明書の発行を依頼しました。
その際、行政書士が大学に送付した書面の中に、申請人がオーバーワークをしていた事実が記載されていました。
大学はこの書面によって、はじめてオーバーワークの存在を知ることになります。

これを受けた大学は、在籍証明書の発行を拒否。理由は
「オーバーワークのある留学生の更新申請に協力することで、適正校クラスの認定に影響が出る可能性がある」
というものでした。

📌 適正校クラスとは
出入国在留管理庁は留学生受け入れ教育機関を「適正校」として認定し、留学生管理の状況に応じてクラスを付与しています。
留年・退学・オーバーワークが多い大学は格下げリスクがあるため、問題のある案件への協力を躊躇することがあります。
本件では前任行政書士が書面でオーバーワークを開示してしまったことが、大学を拒否に転じさせた直接の引き金でした。

その後、申請人本人とアルバイト先の責任者が大学側と複数回にわたって直接話し合いを重ねた結果、
大学はようやく在籍証明書の発行を決定しました。
行政書士による交渉ではなく、アルバイト先責任者が当事者として大学と向き合ったことが解決の鍵となりました。

在留期限3日前の緊急依頼

ところが書類発行が決まった直後、前任行政書士が本件を受任拒否
大学側と取引のあった当事務所に対して、大学側から直接依頼が入りました。
依頼日は2025年5月15日——在留期限まで残り3日でした。
当事務所は翌5月16日に申請を提出し、期限(5月18日)の2日前に受理することができました。

⚠ 期限後も在留継続できる根拠(出管法第20条第5項)
在留期限内に更新申請が受理されれば、許可・不許可の処分が出るまでの間は引き続き在留が可能です。
ただし申請が期限に間に合わなければ在留資格は失われるため、迅速な対応が不可欠でした。
TIMELINE

 申請から許可まで

  • 2025年5月15日(在留期限3日前)
    当事務所へ依頼
    大学側から直接依頼。前任行政書士が受任を拒否した緊急案件。
  • 2025年5月16日(在留期限2日前)
    在留期間更新許可申請 提出
    依頼翌日に申請受理。資格外活動許可は依頼外のため同時申請せず。
  • 2025年5月18日
    在留期限到来
    申請済みのため出管法第20条第5項により在留継続。
  • 2025年6月24日
    在留期間更新 許可
    申請から39日で許可。審査官より「次回留年しても許可は出せない」と条件が示される。
  • 2025年6月24日〜8月27日
    【問題発覚】資格外活動許可なしでアルバイト継続
    申請人が「更新で資格外活動許可も継続される」「申請中は就労できる」と誤認していたことによる無許可就労。この期間の就労時間は週28時間以内にとどまる。
  • 2025年7月4日
    資格外活動許可申請 提出
    当事務所が申請人の生活実態を考慮し独自判断で申請。依頼外の対応。
  • 2025年9月以降
    当事務所からの注意喚起後、申請人が就労を大幅抑制
    申請中は就労不可の旨を明確に通知。10月は許可取得まで就労を完全停止。
  • 2025年10月30日
    資格外活動許可
    申請から約118日で許可。オーバーワーク歴を正直に開示し、改善実績を数値で示した追完対応が奏功。

資格外活動許可の追完対応——過去1年間の就労実績

資格外活動許可申請後、入管から過去1年分のタイムカード控えおよびアルバイト先に関する説明書の提出を求められました。

対象月 集計期間 勤務時間 報酬金額 状況
2024年5月 4/21〜5/20 150時間30分 154,413円 超過
2024年6月 5/21〜6/20 164時間30分 168,777円 超過
2024年7月 6/21〜7/20 155時間00分 159,030円 超過
2024年8月 7/21〜8/20 198時間45分 203,918円 超過
2024年9月 8/21〜9/20 212時間45分 218,282円 超過
2024年10月 9/21〜10/20 163時間00分 169,701円 超過※法人化
2024年11月 10/21〜11/20 106時間45分 114,863円 範囲内
2024年12月 11/21〜12/20 111時間15分 119,505円 範囲内
2025年1月 12/21〜1/20 55時間15分 59,449円 範囲内
2025年2月 1/21〜2/20 84時間25分 90,653円 範囲内
2025年3月 2/21〜3/20 103時間30分 111,366円 範囲内
2025年4月 3/21〜4/20 94時間15分 101,413円 範囲内
2025年5月 4/21〜5/20 85時間15分 93,881円 範囲内

※2024年10月は中華料理△△の法人化(株式会社〇〇〇 設立)に伴い、9/20〜10/9と10/10〜10/20の2枚の給与明細が存在。

説明書の対応方針(3点)
①アルバイト先は株式会社〇〇が運営する中華料理店1件のみ(複数就労の疑いを払拭)
②過去のオーバーワークはルール認識の不足によるものであり、大学・行政書士から指摘後は遵守
③今後も資格外活動の時間を厳守する旨を明確に誓約
👨‍💼
担当行政書士のコメント

タイムカードという客観的証拠がある以上、オーバーワークの事実を隠すことは絶対にすべきではありません。
事実を正直に認めた上で、「その後改善した」という実績を同じデータで証明する——これが唯一の誠実な対応であり、
結果として許可につながりました。2024年11月以降に就労時間が明確に適正範囲内に収まっている数字が、
言葉による弁明を補完しました。

⚠ 審査官からの条件付き許可——更新許可時の重要な警告

“次回、留年しても許可は出せない”

在留期間更新許可を受けた際、入管の審査官から申請人に対して上記の言葉が伝えられました。
今回の許可は一度限りの機会として与えられたものです。
申請人はこの言葉を真摯に受け止め、その後の学業に全力で取り組みました。
結果として卒業単位を取得し、特定活動46号への変更という次のステップへ進むこととなります。

第2章 特定活動第46号(本邦大学卒業者)変更許可
BACKGROUND

就職先の概要と申請の背景

学生時代から継続勤務していた職場への正社員入社

申請人は大学在学中から継続してアルバイトをしていた中華料理店、
「中華料理△△」(運営:株式会社〇〇〇)から正社員として採用内定を受けました。

この会社は、もともと内定した会社の社長の父親が個人事業主として営んでいた中華料理店です。
その父親が亡くなり、事業を継承する形で令和6年(2024年)10月に法人化されました。
これが先述のタイムカードで2024年10月に2枚の給与明細が存在する理由です。
設立間もない法人への就職申請という点が、審査においても一つのポイントとなりました。

特定活動46号とは

📌 特定活動第46号(本邦大学卒業者等)
日本の大学・大学院を卒業・修了した外国人が、日本語を用いた業務に幅広く従事することを認める在留資格です。
従来の「技人国」のように職種限定がなく、現場作業や接客業務にも従事できる点が特徴です。
「日本企業への就職・定着」という政策目的に直結した制度であり、
本件のように学生時代から働いていた職場への正社員就職は、制度趣旨に合致する典型的なケースといえます。
PROCESS

申請から許可まで——最大の山場は追完対応

  • 2026年2月10日
    特定活動第46号 変更許可申請 提出
    4月入社に間に合わせるため、逆算して2月に申請。
  • 2026年3月2日
    入管より追完資料の請求
    過去のアルバイト状況に関する詳細な追完資料を求められる。
  • 2026年3月16日
    追完資料 提出
    上申書・資格外活動に関する理由書・賃金台帳・留学期間中のアルバイト先についての説明書等を提出。
  • 2026年3月23日
    特定活動第46号 変更許可
    申請から41日、追完提出から7日で許可。4月入社に間に合う形で許可取得。

申請時提出書類一覧

特定活動第46号 変更許可申請 提出書類

  • 会社案内書
  • 令和5年確定申告書
  • 令和6年確定申告書
  • 展歴事項全部証明書
  • 中華料理東東 ホームページ
  • BJTスコア表
  • 卒業見込証明書
  • 職務内容説明書
  • 組織図および役割分担説明書
  • 【補足資料】1日のスケジュール
  • 【補足資料】オーバーワークに関する反省文
  • 労働条件通知書(正社員)
  • 給与支払事務所等開設届け
  • 給与所得・退職所得等の所得税徴収高書類
  • パスポート
  • 在留カード
  • 採用理由書
KEY CHALLENGE

最大のネック——無許可就労期間の発覚

第2章における最大の問題は、追完資料の整備過程で資格外活動許可の申請中(2025年6月24日〜8月27日)に
申請人がアルバイトを継続していた事実が判明した
ことです。

この無許可就労は、申請人の以下の2つの誤認によるものでした。

申請人が持っていた2つの誤解
①「在留資格の更新により、従前の資格外活動許可も自動的に継続される」
②「資格外活動許可の申請中であれば、就労を継続できる」いずれも留学生が陥りやすい典型的な誤解です。法令上は、更新許可後に資格外活動許可は消滅しており、
申請中であっても許可が下りるまでは就労は認められません。

さらに、当事務所としても更新許可後に資格外活動許可の再取得が必要である旨、
および申請中の就労が認められない旨を申請人に明確に伝えられていなかった点を認め、
上申書にその旨を正直に記載しました。

無許可就労期間の就労実績(追完提出資料より)

期間 状況 週あたり就労時間(最大) 備考
2025年6月24日〜8月27日 無許可就労 週約24.5時間(8月最大値) 週28時間の上限は超えず
2025年9月以降 就労大幅抑制 注意喚起後に自主的に削減 当事務所からの注意喚起後
2025年10月(許可まで) 就労完全停止 0時間 許可取得(10/30)まで自主停止

追完資料として提出した書類一覧

2026年3月16日 追完提出書類

  • 銀行口座明細 追完
  • 行政書士 上申書 追完
  • 資格外活動に関する理由書 追完
  • 賃金台帳 追完
  • 通帳解約理由書 追完
  • 留学期間中のアルバイト先についての説明書 追完
  • 令和7年度源泉徴収票 追完
  • 申請人理由書(最終版)追完

上申書の構成と主な主張

当事務所は行政書士名義で上申書を作成し、以下の5点を主な考慮事情として提示しました。

上申書 主張ポイント(要約)

無許可就労期間を通じて、週28時間の上限を超えていない(最大週約24.5時間)

注意喚起後、申請人は即座に就労を抑制し、最終的に自主停止した——誠実な対応

申請人に制度を潜脱する意図はなく、典型的な誤解に基づくものである

当事務所が依頼外にもかかわらず7月4日に資格外活動許可申請を提出しており、問題を放置した案件ではない

2024年のオーバーワークは資格外活動許可審査で既に反省文を提出済みであり、その後改善が確認されている

大学在学中より継続勤務していた職場への正社員就職であり、特定活動46号の制度趣旨に合致する

👨‍💼
担当行政書士のコメント

今回の無許可就労は、申請人の誤認と当方の説明不足が重なった結果です。
上申書では「当方が明確に伝えられていなかった」という事実も隠さず記載しました。
「悪いのは申請人だけ」という姿勢で審査官に臨むことは、誠実さに欠けると判断したためです。
行政書士として関与した案件において問題が生じた以上、その責任の一端を認めた上で、
申請人に悪意がなく時間数も適法範囲内であったことを丁寧に示すことが、
審査官の心証を形成する上で最も重要と考えました。


この事例から学ぶポイント

  • 在籍証明の依頼書面にオーバーワークを記載することで、大学が初めてそれを知り拒否に転じる——書面内容の取捨選択は極めて重要
  • 在留期限3日前でも、翌日申請・受理が実現できれば在留継続は可能(出管法第20条第5項)
  • 在留資格更新後、資格外活動許可は自動継続されない——この点を申請人に明確に伝えることが行政書士の義務
  • 資格外活動許可の「申請中」は就労不可——この誤解は留学生に非常に多い。事前の説明が不可欠
  • 無許可就労が判明しても、週28時間以内・注意後に即停止・悪意なし、という事実を上申書で丁寧に説明することで許可につながる場合がある
  • 上申書では行政書士自身の説明不足も正直に認めることで、審査官に対する誠実さを示せる
  • 設立間もない法人・事業継承会社への就職でも、在籍中からの継続勤務実績と制度趣旨への合致を示せば特定活動46号は取得できる
  • 審査官から「次回留年不可」と言われた案件でも、本人が努力して卒業すれば次のステップへ進める

行政書士 加治屋事務所|東京都中央区日本橋エリア
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