「就労ビザの審査は結局どれくらいかかるのか」「採用計画はいつから動かせばよいか」――外国人雇用に関わる人事担当者から繰り返し受けるご相談です。出入国在留管理庁が毎月公表する在留審査処理期間を、令和7年4月から令和8年3月までの12ヶ月分(令和7年度の全月)で集計したところ、全体として長期化が進み、月によって資格ごとの変動が大きいことが明確になりました。とくに経営・管理ビザの認定証明書交付は令和8年1月の169日をピークに、年度末3月も161.6日と高止まりが続いています。本記事では、令和7年度・12ヶ月のデータをもとに、在留資格別・月別・申請種別ごとの傾向を整理し、令和8年度の採用計画立案に役立つ読み解き方をご紹介します。なお本記事は2026年5月時点で、令和7年度の12ヶ月分データに基づきリライト・更新しています。
【筆者プロフィール】
行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルティング・ファイナンシャルプランニング技能検定3級
長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。また、企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。
在留審査処理期間とは何か(指標の読み方)
在留審査処理期間とは、出入国在留管理庁(以下、入管庁)が在留資格関連の申請を受理してから許可(または告知)に至るまでの平均所要日数を、毎月公表している統計指標です。
【出入国在留管理庁「在留審査処理期間(日数)」公表ページ】
公表されている数値は、申請区分ごとに次のように整理されています。
| 申請種別 | 公表される指標 | 意味 |
| 在留資格認定証明書交付 | 処分(交付)までの日数 | 海外から呼び寄せる際に必要なCOE発行までの日数 |
| 在留期間更新 | 処分(告知)/審査終了までの日数 | 期間更新申請の受理から許可告知(または審査終了)までの日数 |
| 在留資格変更 | 処分(告知)/審査終了までの日数 | 別の在留資格への変更申請の受理から許可告知(または審査終了)までの日数 |
更新・変更の「処分(告知)までの日数」には、審査自体は終わっていても入管局に許可受領で来庁する日までの待ち時間が含まれます。つまり「審査終了までの日数」が実際の審査作業に要した期間、「処分(告知)までの日数」がそれに来庁日調整を加えた合計、と整理できます。10ヶ月平均で見ると、来庁待ちは更新で約12日、変更で約11日とほぼ一定で推移しています。
なお、本数値は申請受理日から告知日までの期間であり、追加資料の提出を求められた場合の応答待ち期間も含まれます。不許可・取下げ案件は集計対象外です。
全体傾向:10ヶ月で平均処理日数はどう動いたか
令和7年4月許可分から令和8年1月許可分まで、全在留資格を平均した処理日数の推移は以下のとおりです。

図表1:全在留資格平均の処理日数 月次推移(出典:出入国在留管理庁公表データより作成)
特徴として、認定証明書交付(COE)は4月時点で47.9日だったものが、令和8年1月には54.4日まで伸びています。10ヶ月で約14%の長期化です。在留資格変更は4月45.9日から1月60.1日と、約31%伸びており、3つの申請種別の中でもっとも長期化が顕著です。一方、在留期間更新は32〜39日のレンジで比較的安定して推移しています。入管庁の注記でも触れられているとおり、例年4月の就職時期や4月・10月の日本語学校開講時期に申請が集中するため、就労資格や留学について審査が長期化する傾向は構造的に存在します。ただし令和7年度については、年度後半(11月以降)に入っても短縮に転じておらず、季節要因だけでは説明しきれない動きと解されます。
申請種別ごとの比較(認定証明書/更新/変更)
10ヶ月平均で見ると、申請種別ごとの平均所要日数は次のような関係になります。
ここから読み取れることをまとめます。
| 申請種別 | 年度開始(令和7年4月) | 年度ピーク | 年度末(令和8年3月) | 年度平均 |
| 認定証明書交付 | 47.9日 | 58.9日(令和8年2月) | 47.1日 | 49.2日 |
| 在留期間更新(処分告知) | 32.2日 | 39.1日(令和7年5月) | 32.2日 | 35.2日 |
| 在留資格変更(処分告知) | 45.9日 | 60.1日(令和8年1月) | 54.0日 | 50.6日 |
特徴を整理します。
● 認定証明書交付(COE)は年度を通じて緩やかに長期化し、令和8年2月に58.9日とピークを記録。3月は47.1日と落ち着きましたが、年度平均で見ると49.2日と前年度想定を上回る水準です。
● 在留資格変更は令和8年1月に60.1日に達し、3月時点でも54.0日と高止まりしています。3つの申請種別の中で、もっとも長期化が顕著です。
● 在留期間更新は32〜39日のレンジで比較的安定。年度内の振れ幅は小さく、構造的に短い区分と整理できます。
入管庁の注記でも触れられているとおり、例年4月の就職時期や4月・10月の日本語学校開講時期に申請が集中するため、就労資格や留学について審査が長期化する傾向は構造的に存在します。ただし令和7年度については、年度後半(11月以降)に入っても短縮に転じず、令和8年1〜2月にピークを迎えた点が特徴的です。季節要因だけでは説明しきれない動きと解されます。
申請種別ごとの比較(認定証明書/更新/変更)
令和7年度・12ヶ月平均で見ると、申請種別ごとの平均所要日数は次のような関係になります。
| 申請種別 | 年度平均 |
| 認定証明書交付 | 約49.2日 |
| 在留期間更新(処分告知) | 約35.2日 |
| 在留期間更新(審査終了) | 約22.8日 |
| 在留資格変更(処分告知) | 約50.6日 |
| 在留資格変更(審査終了) | 約38.7日 |
ここから読み取れる構造を3点にまとめます。
海外からの呼び寄せ(COE)と在留資格変更は同じ程度の日数
海外居住者を呼び寄せる場合のCOE取得(約49日)と、すでに日本にいる外国人の在留資格変更(約51日)は、ほぼ同等の所要日数です。「すでに日本にいるから早く済む」とは限らない点に注意が必要です。
在留期間更新は最も短い
更新は実質審査23日+来庁調整12日で35日程度。有効期限の3ヶ月前から更新申請が可能ですので、余裕をもって申請すれば期限切れリスクは抑えられます。
「変更が更新より長い」資格と「変更が短い」資格
変更と更新でどちらが長いかを比較すると、傾向に偏りがあります。新規受け入れや起業設立に関わる審査要素が多い資格(特定技能1号・経営管理・法律会計など)は構造的に変更審査が長期化していると解されます。一方、企業内転勤や報道は「変更」事例自体が少なく、母数の偏りによる影響と推測されます。

図表2:審査終了後の来庁待ち日数の推移(処分告知日−審査終了日)
就労資格別の動向(技人国・特定技能・経営管理ほか)
人事担当者にとって関心が最も高い就労資格の認定証明書交付日数を整理します。下のグラフは、主要就労資格における令和7年4月(年度開始)と令和8年3月(年度末)の処理日数を比較したものです。

図表3:主要就労資格 認定証明書交付日数 年度開始(4月)→年度末(3月)の比較
下表は、令和7年度12ヶ月集計の数値を在留資格ごとにまとめたものです。
| 在留資格 | 令和7年4月 | 令和8年3月 | 年度平均 | 年度最大 |
| 技人国 | 48.9日 | 69.7日 | 60.7日 | 71.8日(2月) |
| 特定技能1号 | 56.9日 | 68.3日 | 67.9日 | 75.1日(11月) |
| 特定技能2号 | 68.1日 | 64.1日 | 56.0日 | 98.6日(11月) |
| 経営・管理 | 96.3日 | 161.6日 | 116.5日 | 169.0日(1月) |
| 技能 | 98.5日 | 104.1日 | 89.8日 | 119.3日(10月) |
| 介護 | 33.8日 | 33.2日 | 54.7日 | 115.4日(1月) |
| 企業内転勤 | 31.5日 | 44.2日 | 39.9日 | 56.0日(7月) |
| 研究 | 42.1日 | 42.4日 | 51.4日 | 67.8日(8月) |
| 教育 | 38.0日 | 31.6日 | 31.8日 | 45.6日(2月) |
| 高度専門職1号ロ | 47.9日 | 29.8日 | 40.2日 | 47.9日(4月) |
| 高度専門職1号ハ | 150.6日 | 41.7日 | 103.5日 | 150.6日(4月) |

図表4:主要就労資格 認定証明書交付日数の月次推移(令和7年度12ヶ月)
特徴的な動きを4点挙げます。
経営・管理の長期化と高止まり
令和7年9月以降、認定証明書交付の所要日数が右肩上がりに伸び、令和8年1月には169.0日(約5ヶ月半)に達しました。その後の2月・3月も152.7日・161.6日と高止まりが続いています。在留資格変更も同様で、令和8年1月以降は92.3→127.7→132.8日と月を追って伸びています。一般論として、令和7年10月から経営・管理ビザの基準省令改正(資本金額や常勤職員数等の要件強化)が施行されたことが影響していると推測されますが、確定的な因果関係は入管庁からは公表されていないため、断定はできません。経営者ビザでの会社設立を検討している場合は、従来想定の2倍程度(5〜6ヶ月)の期間を見込む運用が現実的です。

図表5:経営・管理ビザ 処理日数の月次推移(特筆事項)
介護の極端な月次変動
介護は年度平均では54.7日ですが、月によって27.5日(6月)から115.4日(令和8年1月)まで大きく振れます。とくに令和8年1月の115.4日、2月の114.4日と2ヶ月連続100日超え→3月33.2日と急激な短縮、という乱高下が起きています。年度の変動係数(CV)55.6%は就労資格の中で最大級で、申請時期によって所要期間が大きく変わるため、想定スケジュールには余裕を持たせることが必要です。
技人国・特定技能1号の静かな長期化
技人国は4月48.9日から3月69.7日(年度ピークは2月71.8日)と、年度を通じて約4割伸びています。特定技能1号も4月56.9日から3月68.3日(ピーク11月75.1日)と長期化。「概ね1ヶ月で出る」というかつての感覚で採用計画を立てると、2ヶ月以上のずれが生じうる点に注意が必要です。
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高度専門職1号ハの年度末急減
高度専門職1号ハ(学術研究活動)は年度開始時150.6日と異常に長期化していましたが、年度後半にかけて短縮し、令和8年3月には41.7日まで急減しました。母数が少ないため個別案件の影響を受けやすい区分ですが、年度を通じて改善基調にあると解されます。

図表6:主要就労資格 申請種別ごとの年度平均処理日数比較(令和7年度12ヶ月平均)
身分系資格・特定活動・永住者の動向
身分系・特定活動・永住者についても傾向が見られます。
永住者(永住許可申請)
変更(処分告知)まで、12ヶ月のいずれの月でも238日〜338日で推移しており、年度平均は約294日(約9.8ヶ月)です。令和7年9月の338.1日が年度最長でした。永住申請は約10ヶ月の審査期間を前提に準備するのが妥当です。

図表7:永住許可申請 処分(告知)までの日数の月次推移(令和7年度12ヶ月)
家族滞在・日本人の配偶者等・定住者
認定証明書交付日数が大きく伸びています。年度を通じて配偶者ビザの呼び寄せは3ヶ月超を見込むのが安全圏です。
| 在留資格 | 令和7年4月 | 令和8年3月 | 年度平均 | 年度最大 |
| 家族滞在 | 71.5日 | 64.0日 | 82.0日 | 110.0日(8月) |
| 日本人の配偶者等 | 63.3日 | 96.9日 | 82.8日 | 100.0日(2月) |
| 永住者の配偶者等 | 71.5日 | 103.0日 | 89.3日 | 109.0日(2月) |
| 定住者 | 65.1日 | 83.4日 | 77.8日 | 91.0日(2月) |
特定活動
COE交付日数が4月18.7日から3月45.3日と約2.4倍に伸びています(年度ピークは2月59.6日)。特定活動は活動内容によって運用が大きく異なるため、申請しようとしている号番号ごとの個別運用を事務所等に確認することを推奨します。
特定活動についての詳しい記事はこちら
短期滞在
全期間を通じて10日前後で安定しており、所要日数の影響は小さい区分です。
令和8年度の採用計画への落とし込み方
以上の数値から、令和8年度に外国人雇用を計画する際の逆算スケジュールの目安を整理します(令和7年度の年度末3月の数値ベース)。
| ステップ | 想定期間 | 補足 |
| 採用候補者の選定・条件すり合わせ | 1〜2ヶ月 | – |
| 雇用契約書・申請書類準備 | 2〜4週間 | – |
| 認定証明書交付申請 → 交付 | 約2〜6ヶ月(資格により変動) | 経営管理は約5〜6ヶ月想定 |
| COE発送 → ビザ申請(在外公館) | 2〜4週間 | 国により差 |
| 渡日・住居手配・入社準備 | 2〜4週間 | – |
就労ビザの申請を出してから入社までの期間は、最短でも約4ヶ月、経営・管理など長期化資格は半年以上を見込む計画が現実的です。
また、すでに日本にいる留学生を新卒採用する場合(在留資格変更)も、1ヶ月半〜2ヶ月程度の審査期間を前提に、3月卒業→4月入社のスケジュールでは前年12月〜1月までに変更申請を済ませる流れが安全です。
留学生を採用する際の記事はこちら
期間が長くなる主な要因と対応策
審査期間が長期化する主な要因として、一般的に次の点が挙げられます。
1. 申請件数の集中:4月入社・10月入学などの時期。
2. 書類不備による追加資料要求:応答期間も処理日数にカウントされるため、初回提出時に資料を充実させることで実質短縮が可能です。
3. 制度改正後の運用変動:令和7年10月の経営・管理ビザ改正のように、基準が動くと審査側も慎重になる傾向が解されます。
4. 入管局ごとの混雑差:本記事の数値は全国平均で、東京・大阪など大規模局では更に混む傾向がある旨が一般に指摘されています。
対応策としては以下が考えられます。
● 早期申請:認定証明書は内定確定後すぐに準備。
● 書類の精緻化:理由書・上申書を含めた申請時点の説得力を高める。
● オンライン申請の活用:申請取次行政書士または受入企業からの電子申請を利用することで、書類授受の往復ロスを抑制できます。
在留申請のオンライン手続はこちら 出入国在留管理庁 在留申請オンラインシステム】
なお、本記事の数値は令和8年1月許可分までのもので、それ以降の最新動向は入管庁の公表資料でご確認ください。
まとめ
令和7年度・12ヶ月の集計から、在留審査処理期間は全体として長期化傾向にあり、月別・資格別の変動が大きくなっていることがわかりました。とくに経営・管理ビザの認定証明書交付は令和8年1月の169日をピークに、年度末3月も161.6日と高止まりが続いています。技人国や特定技能1号も静かに伸びており、「就労ビザは1ヶ月で出る」というかつての感覚は通用しません。在留期間更新は比較的安定していますが、在留資格変更は年度を通じて50日超で推移しています。令和8年度の採用計画は保守的に半期単位で逆算し、書類の精緻化と早期申請で実質短縮を図ることが現実的な対策となります。具体的な手続きは個別事情によって異なるため、行政書士にご相談ください。

