「経営・管理」ビザ改正を徹底解説|資本金3000万円・日本語・職歴要件【2026年版】

在留資格

本記事は2026年8月時点の情報です。 「経営・管理」の許可基準改正は令和7年10月16日に施行済みです。在留資格制度は省令改正・運用変更が頻繁にあるため、実際のお手続きの際は出入国在留管理庁の最新資料を必ずご確認ください。

外国人が日本で会社を設立・経営したり、既存事業の経営や管理に携わったりする際に必要となるのが在留資格「経営・管理」です。

この「経営管理ビザ」の許可基準が令和7年(2025年)10月16日に大きく改正され、資本金・出資総額の下限が500万円から3,000万円へ引き上げられたほか、経営者の職歴・学歴日本語能力常勤職員の雇用事業計画書に対する専門家の確認など、新たな要件が加わりました。

本記事では、外国人材の受入れを検討する企業の人事・経営担当者に向けて、今回の改正で「何が」「どのように」変わったのかを、出入国在留管理庁の一次資料に基づいて整理します。既に在留中の方向けの経過措置や、申請時に見落としやすい実務上の注意点まで確認できる内容です。

【筆者プロフィール】

行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルティング・ファイナンシャルプランニング技能検定3級

長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。また、企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。

「経営・管理」在留資格とは|今回の改正の全体像

在留資格「経営・管理」は、外国人が日本で貿易その他の事業の経営を行い、又はその事業の管理に従事する活動を認める在留資格です(出入国管理及び難民認定法別表第一の二)。

会社の設立・経営を行う外国人経営者や、既存企業で経営・管理に携わる外国人幹部が対象となります。前提として、当該外国人が事業の経営又は管理に「実質的に参画」していること、すなわち事業運営に関する重要事項の決定、事業の執行又は監査の業務に従事していることが求められます。

この経営管理ビザの許可基準(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令、いわゆる上陸基準省令)が改正され、令和7年10月16日に施行されました。

従来は「資本金・出資総額500万円以上」を中心とするシンプルな基準でしたが、改正後は資本金の大幅な引上げに加え、経営者の経歴・学歴、日本語能力、常勤職員の雇用、事業計画書の専門家確認という複数の要件が新設・強化されています。まずは新旧の比較で全体像をつかみましょう。

なお、就労を目的とする在留資格には「技術・人文知識・国際業務」など複数の種類があり、経営者ではなく従業員として外国人を雇う場合は別の在留資格を検討します。

就労ビザ全体の種類を確認したい方は、外国人就労ビザの種類・要件ガイドもあわせてご覧ください。

項目従前の要件改正後の要件(令和7年10月16日〜)
資本金・出資総額500万円3,000万円
経歴・学歴(経営者)なし経営・管理経験3年以上、又は経営管理・事業分野に関する修士相当以上の学位
雇用義務なし(資本金の代替として2人以上の雇用要件)1人以上の常勤職員の雇用を義務付け
日本語能力なし申請者又は常勤職員のいずれかが相当程度(B2相当以上)の日本語能力を有すること
専門家の確認なし在留資格決定時に事業計画について経営に関する専門家の確認を義務付け

出典:出入国在留管理庁「『経営・管理』許可基準に係る見直しについて」及び「『経営・管理』の許可基準の改正等について」(令和7年10月16日施行)

出入国在留管理庁の改正案内

出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」

資本金・出資総額が3,000万円以上に(第2号ロ)

今回の改正で最も影響が大きいのが、資本金・出資総額の下限引上げです。従前は500万円以上とされていましたが、改正後は3,000万円以上が必要になりました(上陸基準省令「経営・管理」の項第2号ロ)。金額が6倍に引き上げられたことになります。

ここでいう金額は、事業主体が法人の場合、株式会社における払込済資本の額(資本金の額)、又は合名会社・合資会社・合同会社の出資の総額を指します。事業主体が個人の場合は、事業所の確保や雇用する職員の給与(1年間分)、設備投資経費など、事業を営むために必要なものとして投下されている総額を指すとされています。

なお出入国在留管理庁の運用では、有償新株予約権の発行によって払い込まれた返済義務のない払込金について、一定の要件(将来、権利行使されて払込資本となる場合も、失効して利益となる場合も、いずれも資本金として計上することとしていること等)を満たす部分は、3,000万円の算定に計上できる取扱いが示されています。J-KISS型新株予約権契約書などの投資契約書や払込みを証する資料の提出が求められます。

経営・管理の公式案内

出入国在留管理庁 在留資格「経営・管理」

新設された経歴・学歴要件(第4号)

改正により、経営者本人の経歴・学歴に関する要件が新設されました(上陸基準省令第4号)。具体的には、次のいずれかを満たす必要があります。

  • 経営・管理に関する分野、又は申請に係る事業の業務に必要な技術・知識に係る分野において、博士・修士又は専門職の学位を有していること(外国において授与されたこれに相当する学位を含む)
  • 事業の経営又は管理について3年以上の経験(職歴)を有していること

この「経営・管理経験」には、在留資格「特定活動」に基づく起業準備活動(貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動)の期間も含めることができるとされています。会社の代表者・役員としての実務経験や、事業部門の管理職としての経験などが、この3年以上の職歴に該当するかどうかは、個別の審査によります。

常勤職員1人以上の雇用義務(第2号イ)と日本語能力要件(第3号)

改正後は、申請者が営む会社等において1人以上の常勤職員を雇用することが必要になりました(上陸基準省令第2号イ)。

ここで注意したいのが、この「常勤職員」に数えられる人の範囲です。雇用義務の対象となる常勤職員は、日本人、特別永住者、及び法別表第二の在留資格をもって在留する外国人(「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」)に限られます。「技術・人文知識・国際業務」など法別表第一の在留資格で在留する外国人は、この雇用義務の常勤職員には含まれません。

もう一つの新設要件が日本語能力です。申請者又は常勤職員のいずれかが、相当程度の日本語能力を有することが必要になりました(第3号)。相当程度の日本語能力とは、「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上とされ、日本人・特別永住者以外の方については、次のいずれかで確認されます。

確認方法基準
日本語能力試験(JLPT)N2以上の認定を受けていること
BJTビジネス日本語能力テスト400点以上を取得していること
在留期間による確認中長期在留者として20年以上我が国に在留していること
学歴による確認(高等教育)我が国の大学等高等教育機関を卒業していること
学歴による確認(義務教育+高校)我が国の義務教育を修了し高等学校を卒業していること

ここで実務上の重要な注意点があります。日本語能力要件でいう「常勤職員」には、雇用義務の場合と異なり、法別表第一の在留資格をもって在留する外国人も含まれます。

つまり、日本語能力の要件は技人国などで働く常勤職員によって満たすことも想定される一方、雇用義務(1人以上)はその外国人ではカウントできない、という違いがあります。両者で「常勤職員」の範囲が異なる点に注意が必要です。

在留資格の審査では「該当性・基準適合性・相当性」という3つの視点が重要になります。審査の考え方は在留資格許可の3つの鍵(該当性・基準適合性・相当性)で詳しく解説しています。

事業計画書の専門家確認と申請時の実務上の注意点

改正後は、在留資格決定時に提出する事業計画書について、その計画に具体性・合理性が認められ、かつ実現可能なものであることを評価するものとして、経営に関する専門的な知識を有する者の確認が義務付けられました(出入国管理及び難民認定法施行規則別表第三第1号イ)。施行日時点で確認を行える者として、中小企業診断士、公認会計士、税理士が挙げられています。

ただし、弁護士及び行政書士以外の方が、官公署に提出する申請書等の書類の作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たるおそれがある点に留意が必要です。事業計画の「評価・確認」と、入管への「申請書類の作成」は役割が異なることを理解しておきましょう。

このほか、申請に関する取扱いとして次の点も明確化されています。

  • 業務委託を行うなどして経営者としての活動実態が十分に認められない場合は、「経営・管理」に該当する活動を行うとは認められない
  • 改正後の規模等に応じた経営活動を行うための事業所を確保する必要があるため、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められない
  • 在留期間中、正当な理由なく長期間の出国を行っていた場合は、活動実態がないものとして在留期間更新が認められない
  • 在留期間更新時には、労働保険・社会保険の適用状況や、国税・地方税など公租公課の支払義務の履行状況が確認される
  • 事業に必要な許認可の取得状況等を証する資料の提出が求められる

経営・管理ビザは審査に時間がかかる傾向があり、直近の公表データでは処理期間が長期化しています。採用・招聘のスケジュールは余裕をもって組む必要があります。詳しくは在留審査処理期間の最新動向(2026年版)をご確認ください。

赤字・債務超過と「事業の継続性」|更新時の判断基準

「経営・管理」の在留資格は、在留期間の更新許可申請等において、当該事業の経営・管理という在留活動を継続して行うことができるか(事業の継続性)という観点からも審査されます。

事業活動では様々な要因で赤字決算となり得るため、出入国在留管理庁は、単年度の決算状況だけを重視するのではなく、貸借状況等も含めて総合的に判断するとしています。

具体的には、直近二期(直近期=直近の決算が確定している期、直近期前期=その一期前)の決算状況に応じて、次のように取り扱うこととされています。

直近期又は直近期前期において売上総利益がある場合

直近期末に欠損金がない場合

直近期に当期純利益があり期末に剰余金があれば継続性に問題はありません。直近期が当期純損失であっても、売上総利益があることを前提に、剰余金が減少しただけで欠損金が生じないものであれば継続性を認めます。したがって、直近期末に剰余金がある場合、又は剰余金も欠損金もない場合には、事業の継続性があると認められます。

直近期末に欠損金があるが債務超過ではない場合

今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出を求めたうえで、事業が行われていることに疑義があるなどの場合を除き、原則として継続性を認めます。ただし資料の内容によっては、中小企業診断士・公認会計士等の第三者による評価書面(評価の根拠が記載されたもの)の提出を追加で求める場合があります。

直近期末は債務超過だが、直近期前期末は債務超過でない場合

債務超過が1年以上続いていないことを前提に、1年以内に債務超過を解消する具体的な見通しがあれば継続性を認めます。この場合、中小企業診断士・公認会計士等の第三者による改善見通し(1年以内に債務超過でなくなる見込みを含む)の評価書面の提出が求められます。

直近期末・直近期前期末ともに債務超過である場合

債務超過が1年以上解消されていないため、原則として継続性は認められません。ただし後述の新興企業の特例による柔軟判断の余地があります。

直近期・直近期前期とも売上総利益がない場合

主たる業務で売上高が売上原価を下回る状態が二期連続する場合、主たる業務を継続的に行える能力があるとは認められず、原則として事業の継続性は認められません。こちらも新興企業については特例による柔軟判断の余地があります。

新興企業(設立5年以内の国内非上場企業)の特例

独自性のある技術・サービスや新しいビジネスモデル等で事業を成長させようとする新興企業では、設立当初に赤字が続くことも想定されます。

そのため、二期連続の債務超過や二期連続で売上総利益がない場合に該当しても、次の書類の提出を求めたうえで、その状態に合理的な理由があると判断されれば、事業の継続性を柔軟に判断するとされています。

中小企業診断士・公認会計士等、企業評価を行う能力を有する公的資格者(第三者)が、改善の見通し(1年以内に債務超過/売上総利益がない状態でなくなる見込みを含む)について評価した書面(評価の根拠が記載されたもの)

投資家・ベンチャーキャピタル・銀行等からの投融資、公的支援による補助金・助成金等で資金調達に取り組んでいることを示す書類(十分な手元流動性があり当面の資金調達の必要がない場合は、その状況を示す書類)

製品・サービスの開発や顧客基盤の拡大等に取り組んでいることを示す書類

J-KISS型新株予約権などで資金調達を行うスタートアップは、単年度の赤字だけで直ちに更新が否定されるわけではなく、資金調達や事業成長の状況を示すことで柔軟な判断を受けられる余地があります。資本金3,000万円要件への計上と併せて、更新時の継続性の観点でも資金調達の資料は重要になります。

出典:出入国在留管理庁「『経営・管理』の在留資格の明確化等について」第3項(令和8年6月改訂)

経過措置と施行日前後の取扱い

改正基準は令和7年10月16日施行ですが、既に在留中の方や申請中の方への配慮として、いくつかの経過措置が設けられています。

  1. 本改正省令の施行日の前日までに受付され、審査を継続している在留資格認定証明書交付申請や在留期間更新許可申請等には、改正前の許可基準が適用されます。
  2. 既に「経営・管理」で在留中の方が、施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの間に在留期間更新許可申請を行う場合は、改正後の基準に適合しない場合であっても、経営状況や改正後基準に適合する見込み等を踏まえて許否が判断されます。
  3. 施行日から3年を経過した後の在留期間更新許可申請については、原則として改正後の許可基準に適合する必要があります。

「高度専門職1号ハ」(「経営・管理」活動を前提とするもの)についても、経営・管理の許可基準を満たすことが前提となるため、上記と同様に取り扱われます。また施行日後、改正後の基準に適合していない場合は、「経営・管理」等からの永住許可が認められないとされている点にも注意が必要です。

高度専門職や永住との関係が気になる方は高度専門職とは(ポイント制・永住への最短ルート)もあわせてご確認ください。

なお、特定活動44号(外国人起業家・スタートアップビザ)や51号(未来創造人材)から「経営・管理」へ変更する場合の取扱いは、確認証明書の交付時期や申請時期によって適用基準が分かれます。特定活動の各類型については在留資格「特定活動」とは(3分類と企業実務)で整理しています。

よくある質問(FAQ)

Q
既に経営・管理ビザで在留中ですが、すぐに資本金を3,000万円へ増資しないと更新できませんか?
A

すぐに適合しなくても直ちに不許可となるわけではありません。既に在留中の方が施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までに更新申請を行う場合は、改正後基準に適合しない場合でも、経営状況や適合見込み等を踏まえて許否が判断される経過措置があります。ただし3年経過後は原則として改正後基準への適合が必要とされています。

Q
雇用する常勤職員は外国人でもよいですか?
A

雇用義務(1人以上)でカウントできる常勤職員は、日本人、特別永住者、及び法別表第二の在留資格(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)の方に限られます。「技術・人文知識・国際業務」など法別表第一の在留資格で在留する外国人は、この雇用義務の常勤職員には含まれない点に注意が必要です。

Q
日本語能力は経営者本人が満たす必要がありますか?
A

申請者本人か、常勤職員のいずれかが相当程度(B2相当以上)の日本語能力を有していれば要件を満たすと解されます。日本語能力要件でいう常勤職員には法別表第一の在留資格者も含まれるため、日本語ができる従業員によって満たすことも想定されます。個別の確認方法はJLPT N2以上、BJT400点以上などによります。

Q
事業計画書の確認は誰に依頼すればよいですか?
A

施行日時点では、中小企業診断士・公認会計士・税理士が経営に関する専門家として確認を行えるとされています。ただし、入管へ提出する申請書類の作成を報酬を得て業として行えるのは弁護士・行政書士に限られます(他の資格者が行うと行政書士法違反のおそれがあります)。計画の「確認」と申請書類の「作成」は分けて考える必要があります。

Q
自宅をそのまま事務所にして申請できますか?
A

改正後の規模等に応じた経営活動を行うための事業所を確保する必要があることから、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められないとされています。事業目的の賃貸借契約であることや、契約名義が法人等であることなど、事業所としての実体が求められます。

Q
施行日より前に申請していれば旧基準で審査されますか?
A

施行日(令和7年10月16日)の前日までに受付され、審査が継続している在留資格認定証明書交付申請や在留期間更新許可申請等には、改正前の許可基準が適用されるとされています。受付のタイミングによって適用基準が分かれるため、申請時期の確認が重要です。

まとめ

令和7年10月16日施行の経営管理ビザ改正では、資本金・出資総額が500万円から3,000万円へ引き上げられ、経営者の経歴・学歴要件(経営管理経験3年以上又は修士相当以上の学位)、常勤職員1人以上の雇用義務、申請者又は常勤職員の日本語能力(B2相当以上)、事業計画書に対する専門家の確認が新たに求められるようになりました。

既に在留中の方には施行から3年間の経過措置があるものの、更新のたびに要件が問われるため、早めの準備が欠かせません。「常勤職員」の範囲が要件ごとに異なる点など、実務では判断に迷いやすい論点も少なくありません。

具体的な手続きは個別事情によって異なるため、行政書士 加治屋事務所までご相談ください。

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