在留資格「特定活動」とは?制度の全体像・3分類・企業の雇用実務を徹底解説【2026年版】

在留資格

外国人を採用・雇用する人事担当者の皆さまのなかには、「在留カードに『特定活動』と書かれているけれど、この人は何の仕事をしてもいいの?」と疑問を感じた方も多いのではないでしょうか。

実は、在留資格「特定活動」は、技術・人文知識・国際業務や特定技能とは異なり、認められる活動内容が一人ひとりの外国人によって異なります。そのため、就労の可否も一律ではなく、誤った運用は不法就労助長罪に直結するリスクがあります。

この記事では、特定活動の制度の全体像から、法定・告示・告示外の3分類、企業が接する主な類型の要件、そして雇用時に確認すべき実務ポイントまでを、行政書士が令和8年4月8日改正時点の一次情報をもとに解説します。

【筆者プロフィール】

行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルティング・ファイナンシャルプランニング技能検定3級

長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、

行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。 また、企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。

在留資格「特定活動」とは何か――制度の全体像

日本に中長期間滞在する外国人は、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)に基づき、何らかの在留資格を持つことが必要です。それぞれの在留資格には「日本で行ってよい活動の範囲」が定められており、その範囲を超えた活動は原則として認められません。

在留資格「特定活動」は、入管法別表第一の五に定められた在留資格で、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」を行うための資格です。

技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)や特定技能のように活動の種類が法令で一律に定まっているのではなく、個々の外国人ごとに法務大臣が活動内容を個別に指定するという特徴があります。

つまり、同じ「特定活動」という在留資格であっても、Aさんに認められている活動とBさんに認められている活動はまったく異なる場合があります。

在留カードには「特定活動」とだけ記載され、具体的な活動内容は別途「指定書」という書面に記載されます。

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なぜこの制度があるのか――柔軟な受け皿としての役割

新しい在留資格を一から創設するには入管法の改正が必要であり、相応の時間がかかります。一方で、社会経済の変化に伴い、既存の在留資格のどれにも該当しない新しいニーズへの対応が迫られることがあります。

特定活動は、法務大臣の判断で活動類型を指定・追加できる仕組みのため、入管法改正を待たずに新しい受け入れニーズへ迅速に対応できる「受け皿」としての役割を果たします。

近年では大阪・関西万博2026年愛知・名古屋アジア競技大会の関係者デジタルノマドなどが特定活動として位置付けられた例があります。

こうした柔軟性ゆえに、特定活動の類型は法務省令(告示)の改正によって随時増減・変更されます。企業の人事担当者としては、採用する外国人が「特定活動」であっても、その内容は一つひとつ確認する姿勢が不可欠です。

最重要ポイント:就労の可否は「指定書」で決まる

特定活動において企業が絶対に見落としてはならないのが「指定書」の存在です。指定書はパスポートに貼付される書面で、その外国人に許可された具体的な活動内容・就労の可否・活動できる期間・条件が記載されています。

在留カードには「在留資格:特定活動」としか記載されないため、カードだけを確認しても就労可能かどうかを判断することはできません。雇用前には必ず指定書を確認し、以下の3点を確かめることが必要です。

  • 指定書に記載された活動の範囲(記載外の活動は不可)
  • 就労の可否と週の上限時間(「就労不可」「資格外活動許可で週28時間以内」等)
  • 在留期限と更新スケジュール(短期の資格が多く、期限管理が重要)

指定書で認められていない就労を行わせた場合、企業側が不法就労助長罪(入管法第73条の2)に問われるおそれがあります。「知らなかった」という理由では免れられない場合があるため、採用前の確認を徹底してください。

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出入国在留管理庁「在留資格一覧」

特定活動の3分類(法定・告示・告示外)

特定活動は大きく次の3種類に分かれます。それぞれで海外からの呼び寄せ可否や在留期間の特徴が異なります。

分類概要・根拠呼び寄せ代表例
①法定特定活動入管法の本文に直接定められたもの号による特定研究活動、特定情報処理活動、その家族
②告示特定活動法務大臣の告示で類型化され、号番号が付くもの多くは可能インターンシップ(9号)、本邦大学卒(46号)、デジタルノマド(53号)
③告示外特定活動告示になく、個別事情に応じて指定するもの(号なし)原則不可継続就職活動、出国準備、老親扶養

② 告示特定活動は、海外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請)が可能なものが多く、企業が新規採用時に活用しやすい類型が含まれます。

告示外特定活動は原則として在留中に在留資格変更で取得するものであり、海外からの直接招聘はできません。

企業が接する機会の多い告示特定活動

現行の告示は令和8年4月8日改正時点で第58号まで(第11・32・35・48・49号は削除)あります。以下では企業の人事担当者が特に接する機会の多い主要なケースを紹介します。

インターンシップ(第9号)

項目内容
対象外国の大学の学生(学位課程・18歳以上)
主な要件大学と受入機関の契約に基づき、教育課程の一部として実施。受入機関から報酬を受ける(有償)
在留期間1年以内、かつ通算で修業年限の1/2以内
就労可(当該機関の業務。派遣は不可)

有償でのインターンシップに対応した在留資格です。

無償インターンシップは「文化活動」等が適用される場合もあるため、報酬の有無を必ず確認してください。

外国人採用の3つの方法を解説

外国人採用の3つの方法

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在留資格「特定活動」(インターンシップ・サマージョブ・国際文化交流)

本邦大学等卒業者(第46号)

項目内容
対象日本の大学等を卒業・学位取得した方(令和6年改正で高度専門士等も含む)
主な要件日本語能力試験N1またはBJT480点以上。常勤雇用・日本語を活かす一定水準の業務・日本人同等以上の報酬
在留期間5年・3年・1年・6月等(指定機関での就労)
就労可(指定機関で就労。派遣は不可)

技人国では対応しにくい飲食・販売・介護補助など幅広い業種に対応できる点が特徴です。

日本語力を活かした業務であることが求められ、接客・翻訳・通訳・店舗運営管理など実務への結びつきを申請時に説明することが重要です。

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特定活動46号とは?取得要件・できる仕事・企業の採用メリットを解説

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在留資格「特定活動」(本邦大学等卒業者及びその配偶者等)

デジタルノマド(第53号)

項目内容
対象査証免除かつ租税条約締結国の国籍を持つ方
主な要件情報通信技術を用いた外国企業等の業務・年収1,000万円以上。民間医療保険に加入(治療費補償1,000万円以上)
在留期間6か月(更新不可・在留カードなし)
就労海外の業務のみ可(日本国内の企業への就労は不可)

日本に居住しながら海外の企業のリモートワークを行うための資格です。

国内企業への就労は認められていないため、日本企業が直接採用するための資格ではありません。

ワーキング・ホリデー(第5号)

項目内容
対象協定・取決めのある国・地域の国民(令和8年4月時点で30か国・地域)
主な要件査証申請時18〜30歳(国により異なる)。主目的は休暇。生計維持の資金・被扶養者を同伴しない・健康であること
在留期間通常1年(国により異なる)
就労旅行資金を補う範囲で可

アルバイト等の短期就労は可能ですが、特定の事業所での就労期間は通常3か月が上限とされています。指定書の内容を必ず確認し、長期雇用を前提とする場合は在留資格変更を検討してください。

自動車運送準備(第55号)

項目内容
対象特定技能1号(自動車運送業)へ移行予定の方
主な要件技能・日本語試験に合格済み・受入機関と特定技能雇用契約を締結。免許取得(外免切替等)または新任運転者研修の修了が目的
在留期間トラック:6か月、バス・タクシー:1年(更新不可)
就労運転業務は不可(準備活動のみ)

特定技能への移行準備期間中の受け皿として設けられた類型です。

在留中は実際の運転業務は行えず、免許取得・研修受講等の準備活動に限られます。

自動車運送業分野の要件詳細

特定技能「自動車運送業」の要件・3区分・免許と日本語要件を解説

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自動車運送業分野の「特定技能1号」になるための準備活動

その他の告示特定活動を知りたい方はこちら

告示特定活動 一覧

告示外特定活動の代表例と注意点

告示外特定活動は、告示になく個別事情に応じて法務大臣が指定するもので、海外から直接呼び寄せることは原則できません(在留中の在留資格変更が基本)。

継続就職活動・内定待機

日本の大学・大学院・短大・専修学校専門課程(専門士)などの卒業者が対象です(日本語教育機関の学生は対象外)。

類型在留期間就労
継続就職活動6か月・1回更新(最長1年)※自治体の就職支援事業対象なら2年目も可原則不可(資格外活動許可で週28時間以内のアルバイト可)
内定待機採用までの待機期間(内定先企業・期間を指定)原則不可(資格外活動許可で週28時間以内のアルバイト可)

内定待機については、内定後1年以内かつ卒業後1年6か月以内に採用されることが要件です。

また、内定先での活動が技人国等の就労資格への変更が見込まれること、内定先企業が内定者と定期的に連絡することや内定取消時に入管へ連絡する旨を誓約することが必要です。

内定取消が生じた場合の対応を把握しておくことが重要です。

内定取消時の正しい対応はこちら

特例期間中の取り下げは危険|技人国の内定取消と出国準備への変更

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本邦の大学等を卒業した留学生が就職活動を行う場合

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大学又は専門学校の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在を希望する場合

出国準備・難民認定申請中ほか

「出国準備」は在留資格の更新・変更が不許可となった場合等に、帰国の準備を行うための在留資格です。通常30日または31日が付与され、原則就労不可です。

「難民認定申請中」はその名のとおり申請審査中に認められる在留で、就労が可能なものと不可のものがあります。

「老親扶養(連れ親)」は高齢の親を人道配慮で受け入れる類型で、許可基準は非公表です。

企業の雇用実務チェックリスト――不法就労助長罪を防ぐために

「特定活動」を持つ外国人を雇用・採用する際は、以下のチェックリストを活用してください。

確認事項確認方法・ポイント
① 指定書の内容を確認するパスポートに貼付の指定書を必ず原本で確認。コピーを保管
② 認められている活動の範囲を確認する指定書記載外の業務は一切させない
③ 就労の可否・週の上限時間を確認する「就労不可」「資格外活動許可で週28時間以内」等を確認
④ 在留期限と更新スケジュールを管理する期限の3か月前から更新手続きの準備を開始
⑤ 在留カードの有効期限・真正性を確認する在留カードの確認は法的義務。偽造カードに注意
⑥ 判断に迷う場合は専門家に相談する行政書士・弁護士など入管専門家へ相談

許可審査の3つのポイント

在留資格の許可3要件を徹底解説

よくある質問(FAQ)

Q
在留カードに「特定活動」と書かれていれば就労できますか?
A

在留カードだけでは判断できません。特定活動の就労可否は、パスポートに貼付されている「指定書」の記載内容によって決まります。指定書に就労が認められていない場合や、資格外活動許可が必要な場合もあります。採用前に必ず指定書を確認してください。

Q
告示特定活動と告示外特定活動はどう違いますか?
A

告示特定活動は法務大臣の告示によって号番号が付けられた類型で、多くは海外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請)が可能です。告示外特定活動は号番号がなく、個別事情に応じて指定されるもので、原則として在留中に在留資格変更で取得します。継続就職活動・出国準備・老親扶養等が代表例です。

Q
特定活動46号と技人国(技術・人文知識・国際業務)はどう違いますか?
A

技人国は理工系・文系の専門知識を活かした業務が対象ですが、飲食店での接客・介護補助・小売販売などには原則対応できません。特定活動46号は日本語N1等の高い日本語力が要件ですが、技人国では難しい業種・業務にも対応できる点が大きな違いです。なお、46号は指定機関での就労に限られ、派遣勤務は認められません。

技術・人文知識・国際業務を詳しく知りたい方はこちら

技術・人文知識・国際業務完全ガイド

Q
継続就職活動中の外国人を採用できますか?
A

継続就職活動(告示外特定活動)の方は原則就労不可であり、資格外活動許可の範囲でアルバイトができるのみです。正式に雇用する場合は、就労ビザ(技人国・特定技能等)への在留資格変更申請が必要です。入社予定日までに許可が得られるよう、早めに手続きを進めることが重要です。

Q
特定活動の在留期間を超えて働かせてしまった場合はどうなりますか?
A

在留期限を超えた就労は不法就労に該当し、当該外国人だけでなく雇用した企業側も不法就労助長罪(入管法第73条の2)に問われるおそれがあります。在留期限が近づいたら早めに更新・変更手続きを行い、期限管理を徹底することが重要です。個別の対応については入管専門の行政書士等にご相談ください。

まとめ

在留資格「特定活動」は、既存の在留資格に当てはまらない活動のための受け皿となる在留資格であり、法務大臣が個々の外国人に対して活動を個別指定します。

就労可否を含む具体的な活動内容は在留カードではなくパスポートに貼付の「指定書」に記載されるため、採用前に指定書を必ず確認することが第一歩です。

特定活動には法定・告示・告示外の3分類があり、インターンシップ(9号)・本邦大学等卒業者(46号)・デジタルノマド(53号)・自動車運送準備(55号)など、企業が接する機会の多い類型もあります。

また、継続就職活動・内定待機・出国準備などの告示外特定活動は原則として在留中の資格変更で取得するものです。

誤った運用は不法就労助長罪につながるリスクがあるため、判断に迷う場合は早めに専門家に相談することをお勧めします。具体的な手続きは個別事情によって異なるため、行政書士 加治屋事務所までお気軽にご相談ください。

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