新着記事

記事は見つかりませんでした。

留学生を新卒採用するときの在留資格変更ガイド【2025年最新】

採用ノウハウ

申請スケジュール・必要書類・許可実績まで徹底解説

「優秀な留学生に内定を出したいが、在留資格の手続きが複雑そうで不安

「いつまでに申請すれば4月入社に間に合うのか分からない

このような声を、外国人雇用に携わる人事担当者の方から多くいただきます。

スケジュールと必要書類さえ正確に押さえていれば、留学から就労ビザへの変更手続きは決して難しくありません。出入国在留管理庁のデータによると、令和6年の許可率は96.7%に達しており、適切に準備された申請の大部分は許可されています。

この記事では、新卒採用に関わる人事担当者の方に向けて、留学から就労資格への変更手続きの流れ、選べる在留資格の種類、申請上の注意点、そして留学生の日本就職の最新データをまとめてお伝えします。

外国人の採用方法を知りたい方はこちら                      外国人採用の3つの方法とは?海外招聘・国内転職・留学生採用の手続きと注意点を行政書士が解説

筆者プロフィール詳細】

行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルティング・ファイナンシャルプランニング技能検定3級

長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。また、企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。

留学生の就労に係る主なフロー

在留資格「留学」から就労資格への変更には、卒業時点で内定があるかどうかによってルートが異なります。

卒業時点で内定が決まっている場合

大学・専門学校・日本語教育機関のいずれを卒業する場合も、在留資格変更許可申請を行い、就労資格を取得します。変更後の資格として代表的なものは以下のとおりです。

  • 技術・人文知識・国際業務(技人国)
  • 特定活動(46号) ※大学卒業者が対象、専門学校・日本語教育機関は対象外
  • 特定技能

卒業時点でまだ内定が決まっていない、または採用まで時間がある場合

卒業後すぐに就労資格を取得できない場合も、一定期間は日本に在留して就職活動を続けることができます。

  • 特定活動(継続就職活動) ※原則として日本語教育機関を除く
  • 特定活動(就職内定者)

内定後に就労資格への変更申請を行う流れは同じです。

「留学」から変更できる在留資格の種類

新卒採用で最も活用される在留資格と、それぞれの特徴を整理します。

技術・人文知識・国際業務(技人国)

出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」公式ページhttps://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html

留学から就労資格へ変更する場合の約79%が選択する最もメジャーな資格です(令和6年データ)。

主な対象職種

  • 翻訳・通訳
  • 情報処理・システム開発
  • 海外取引・貿易業務
  • 企画・マーケティング
  • 管理業務(経営者を除く)
  • 法人営業

ポイント:従事する業務が「学術上の素養を背景とする技術・知識」を要するものであること、かつ大学・専門学校等で修得した専攻と業務内容の関連性(専攻関連性)が求められます。

技術・人文知識・国際業務についての詳しい記事はこちら
技術・人文知識・国際業務の在留資格完全ガイド

特定活動(46号)

出入国在留管理庁「特定活動(本邦大学等卒業者)」公式ページhttps://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities11.html

日本の4年制大学を卒業(見込み)した外国人が、日本語を用いた幅広い業務に従事できる資格です。技人国よりも業務範囲が広い点が特徴です。

  • 対象:日本の4年制大学または大学院を卒業・修了した者(専門学校・日本語教育機関は対象外)

ポイント:日本語能力(JLPT N1相当)が要件となります。翻訳・通訳業務を主とするのではなく、日本語を使って幅広く業務に携わることが条件です。

特定活動46号についての詳しい記事はこちら                    特定活動46号とは?取得要件・できる仕事を解説

特定技能1号

令和6年の統計では留学からの変更で約6.3%を占めるようになり、存在感が高まっています。特定技能試験の合格または技能実習2号修了が要件となりますが、対象分野(飲食料品製造・外食業・介護等)に就職する場合は有力な選択肢です。

特定技能についての詳しい記事はこちら                       特定技能制度とは?企業が知るべき完全ガイド

4月入社を実現するための申請スケジュール

出入国在留管理庁が公表する「4月入社のモデルケース」に基づいたスケジュールです。

出入国在留管理庁「留学から就労資格への変更申請(書類省略制度の詳細)」https://www.moj.go.jp/isa/10_00240.html

2026年4月1日から就労を開始させる場合は、2025年12月1日〜2026年1月末までの申請が推奨されています。

時期手続き提出書類
就職活動・内定採用決定
12月〜翌2月頃在留資格変更許可申請卒業見込み証明書で申請可能
2月末〜4月就労資格への変更許可許可時に卒業証明書が必要
入社後在留期間更新許可申請在留期間が近付いたら申請

なぜ12月〜1月申請が推奨されるのか

申請から許可まで通常2〜3ヶ月を要します。書類に不足があると審査に時間がかかり、4月1日までに許可が出ない可能性があります。余裕を持った申請が内定者・採用担当者双方にとって安心です。

重要:申請は「卒業見込み証明書」で受け付けてもらえますが、許可の際には「卒業証明書」の提出が必要です。入社前に必ず大学から取得するよう内定者に案内してください。

申請に必要な書類と2025年12月からの新ルール

基本的な必要書類

  • 在留資格変更許可申請書
  • 日本での活動内容に応じた資料(在留資格・勤務先規模により異なる)
  • 卒業見込み証明書(申請時)/卒業証明書(許可時)
  • パスポート・在留カード
  • 雇用契約書・採用通知書
  • 会社の登記事項証明書・決算書等(会社側の書類)

※必要書類の詳細は、在留資格や勤務先カテゴリーにより異なります。

2025年12月1日からの新制度:提出書類の省略

「留学」から「技術・人文知識・国際業務」または「研究」への変更申請において、2025年12月1日から、以下のいずれかに該当する場合は提出書類の省略が認められるようになりました。

※派遣形態による雇用の場合は対象外です

日本の大学卒業(予定)者

大学院・短期大学卒業者を含みます。日本国内の大学を卒業・卒業見込みであれば対象となります。

海外の優秀大学卒業者

3つの世界大学ランキングのうち、2つ以上で上位300位にランクインしている外国の大学の卒業者が対象です。

留学から就労資格への変更実績のある機関での就労

申請人が希望する在留資格を持つ外国人(「留学」から変更許可を受けた者)が現にその機関に雇用されており、かつ当該外国人が就労中に少なくとも1度の在留期間更新許可を受けている場合が対象です。

つまり「以前も同じケースを許可してもらったことがある会社」は書類が簡略化されます。この省略制度を最大限に活用するためには、申請前に自社がどのカテゴリーに該当するかを確認することが重要です。

出入国在留管理庁「在留資格別の提出資料一覧」https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/index.html

審査で見られるポイント・よくある不許可事由

審査で見られるポイントを詳しく知りたい方はこちら在留資格許可の「該当性・基準適合性・相当性」とは

在留資格変更の審査では、以下を総合的に考慮して判断されます。

  • 活動内容の該当性 — 行おうとする業務が在留資格に該当するか
  • 上陸基準省令への適合 — 学歴・職歴等の基準を満たすか
  • 在留状況 — 「留学」期間中の活動状況(アルバイト時間超過・資格外活動違反がないか)

人事担当者が注意すべき点

  • 留学中に週28時間を超えるアルバイトをしていた実績がある場合、在留状況の問題として審査で不利になる可能性があります。
  • 採用する職種と専攻の関連性が薄い場合、追加書類の提出を求められることがあります。
  • 雇用契約書の報酬額が日本人と同等以上であることの確認も必要です。

許可される在留期間は、雇用契約期間・業務内容・報酬・在留状況等をすべて総合的に考慮して個別に決定されます。必ずしも申請通りの期間が許可されるとは限らないことを念頭に置いてください。

資格外活動許可についての詳しい記事はこちら                   資格外活動許可があっても入管NGになるケース

令和6年の留学生就職実績データ

出入国在留管理庁「令和6年における留学生の日本企業等への就職状況について」(令和7年1月公表)に基づくデータです。

外国人雇用の全体の状況を確認したい方はこちらの記事へ              外国人雇用の現状をデータで解説

出入国在留管理庁「令和6年における留学生の日本企業等への就職状況について」https://www.moj.go.jp/isa/content/001432060.pdf

全体の処分・許可状況

指標数値
処分数(申請数ベース)41,142件
許可数39,766件
不許可数1,376件
許可率96.7%

許可率は近年右肩上がりで、令和6年は96.7%と非常に高水準です。適切な書類を準備すれば許可される可能性は極めて高いと言えます。

国籍・地域別(上位5か国)

国籍許可数構成比
中国14,511人36.5%
ベトナム8,484人21.3%
ネパール3,909人9.8%
韓国1,688人4.2%
インドネシア1,331人3.3%

アジア出身者が全体の93.9%を占め、中国・ベトナム・ネパールで約7割に達します。

変更後の在留資格

在留資格許可数構成比
技術・人文知識・国際業務31,393人78.9%
特定技能1号2,517人6.3%
特定活動2,394人6.0%
教授1,032人2.6%
高度専門職1,032人2.6%

技人国が圧倒的多数を占めており、引き続き新卒採用の主軸となっています。

就職先の業種(非製造業上位)

業種構成比
小売業10.2%
情報通信業9.3%
飲食サービス業8.2%
学術研究・専門技術サービス7.9%
宿泊業7.1%

非製造業が全体の86.4%を占め、サービス・IT・小売業での採用が特に多い状況です。

職務内容(上位)

職務内容構成比
翻訳・通訳12.5%
情報処理・通信技術9.5%
管理業務(経営者除く)8.7%
海外取引業務4.7%

月額報酬

月額報酬構成比
20万円未満25.7%
20万円以上25万円未満(最多)46.1%
25万円以上30万円未満17.9%
30万円以上10.3%

月20〜25万円が最多で全体の約46%。日本人と同等の報酬水準が審査でも重視されます。

就職先企業の規模

  • 従業員100人未満の企業が全体の55.8%を占めており、中小企業でも留学生採用は活発です。
  • 資本金500万円以下の企業への就職も27.3%と最多であり、スタートアップ・中小企業での採用実績が豊富です。

就職先の所在地(上位)

都道府県構成比
東京都42.4%
大阪府12.2%
神奈川県5.6%
愛知県4.4%

東京・大阪・神奈川・愛知の4都府県だけで全体の64.6%を占めます。

人事担当者が押さえるべき実務上の注意点

  • 採用確定後はすぐに在留カードを確認する

内定を出したら、在留カードの有効期限・現在の在留資格を確認しましょう。在留期間の満了が3月末に迫っている場合、申請が間に合わないリスクがあります。

  • 在留資格変更申請は本人申請が原則

申請は原則として外国人本人が最寄りの出入国在留管理局に出頭して行います。申請取次行政書士に依頼すれば、本人に代わって申請できます。遠方の外国人や業務が多忙な場合は専門家への依頼も検討しましょう。

  • 派遣社員としての雇用は書類省略の対象外

2025年12月からの書類省略制度は、派遣形態による雇用の場合は対象外です。派遣会社を通じた雇用の場合は通常の書類が必要になります。

  • 内定者に事前に伝えるべきこと
  • 卒業見込み証明書の早期取得
  • 留学中のアルバイト時間数の記録保持
  • 在留期間の確認
  • 申請から許可まで2〜3ヶ月かかることの周知
  • 申請後も「みなし在留」で在留可能

在留期間内に在留資格変更許可申請を行った場合、許可・不許可の決定があるまでの間は「みなし在留」として引き続き在留することができます。ただし、4月1日時点でまだ許可が出ていない場合の就労開始については慎重な判断が必要です。

まとめ

留学生の新卒採用における在留資格変更の要点を整理します。

項目ポイント
申請タイミング4月入社なら12月〜1月末までに申請
主な変更先資格技人国(約79%)、特定活動46号、特定技能
申請可能な段階卒業見込み証明書で申請OK
2025年12月からの変更日本の大学卒業者等は提出書類の省略が可能
令和6年の許可率96.7%(39,766件許可)
中小企業での実績従業員100人未満で全体の55.8%

留学生の採用は、適切な手続きを踏めば許可率は極めて高く、中小企業にとっても十分に現実的な選択肢です。スケジュール管理と書類の正確な準備が成功の鍵となります。

在留資格変更手続きについてご不明な点がある場合は、申請取次行政書士にご相談ください。

参考資料:出入国在留管理庁「留学から就労資格への変更手続の流れ」「在留資格「留学」から就労資格への変更申請を予定されている皆様へ」「留学生の就労に係る主なフロー」「令和6年における留学生の日本企業等への就職状況について」(令和7年1月公表)