在留カードの確認方法|採用時に人事が見るべき5項目と不法就労助長罪のリスク【2026年版】

採用ノウハウ

「外国人の応募者から在留カードを見せてもらったけれど、どこを確認すればいいのかわからない」

そんな不安を抱える人事担当者の方に向けた記事です。

在留カードの確認を怠ったまま不法就労をさせてしまうと、会社が「知らなかった」と主張しても、確認していない等の過失があれば不法就労助長罪で処罰される可能性があります。

しかも罰則は2027年4月1日から引き上げられる予定で、2026年6月からはマイナンバーカードと一体化した「特定在留カード」の交付も始まり、券面の見方も変わりました。

本記事では、採用時に人事が見るべき5つの確認項目、読取アプリと失効情報照会の使い方、不法就労助長罪の要件と罰則を、実務の流れに沿って解説します。社内の採用マニュアルづくりにもそのままご活用ください。

行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルティング・ファイナンシャルプランニング技能検定3級

長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、

行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。 また、企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。

在留カードとは?採用時に確認が必要な理由

在留カードは、就労や留学、日本人との婚姻などを理由に、入管法上の在留資格をもって日本に中長期間(原則として3か月を超えて)滞在する外国人に交付されるカードです。観光などで一時的に滞在する人や、不法滞在者には交付されません。

外国人を雇用する会社にとって、在留カードは「この人を、この仕事で雇ってよいか」を判断するための最も基本的な資料です。

出入国在留管理庁は事業主向けリーフレットで、外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には処罰を免れないと注意を促しています。

つまり、在留カードの確認は「念のため」ではなく、会社を守るための必須手続きといえます。

在留カードを持っている人・持っていない人

特別永住者を除き、在留カードを持っていない外国人は、原則として就労できません。ただし、次のような人は在留カードがなくても就労できる場合があります。

  • 旅券(パスポート)に「後日在留カードを交付する」旨の記載がある人(空港で即日交付されなかった場合など)
  • 「3月」以下の在留期間が付与された人
  • 「外交」「公用」等の在留資格の人

これらの人は、旅券の記載などで就労できるかどうかを確認します。なお、特別永住者は「特別永住者証明書」を所持しており、就労制限はありません。

2026年6月から始まった「特定在留カード」と新様式カード

2026年6月14日から、在留カードの様式が変わり、マイナンバーカードの機能を一体化した「特定在留カード」の交付も始まりました。社内には今後しばらく、旧様式・新様式・特定在留カードの3種類が混在することになります。

特に注意したいのは、特定在留カードでは「資格外活動許可欄」が表面にあり、記載の文言も従来と異なる点です。旧様式の見本だけを社内マニュアルに載せていると、確認漏れの原因になります。採用担当者向けの資料は、出入国在留管理庁が公表している新様式のリーフレットに差し替えておくと安心です。

また、特定在留カードの裏面にはマイナンバー(個人番号)などが記載されています。写しの取扱いには、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下、マイナンバー法)が関わるため、次章のポイント1で解説します。

出入国在留管理庁「在留カードとは?」

在留カードの確認方法|人事が見るべき5つのポイント

ここからは、採用面接や内定時に人事担当者が確認すべき5つのポイントを、実務の順番で整理します。

#確認項目見る場所NGの例
1原本かどうかカード全体コピーやスマホ写真だけで確認を終える
2就労制限の有無表面「就労不可」なのにフルタイムで雇う
3資格外活動許可裏面(特定在留カードは表面)許可なしの留学生をアルバイト採用
4在留期間(満了日)表面・裏面満了日が過ぎたカードで採用
5指定書・業務内容との一致指定書・在留資格技人国の人を工場のライン作業に配置

ポイント1:原本かどうか(コピー・写真で済ませない)

確認は必ず原本で行います。コピーやスマートフォンで撮った写真では、偽造かどうかや、ICチップの情報との一致を確かめられません。

本人の同意を得たうえで原本を確認し、確認日と確認者を記録したうえで写しを保管する運用にしておくと、後から「確認していた」ことを示す資料にもなります。

本人の同意なく読み取ることは、個人情報保護や本人確認の適正性の観点から問題が生じうるため、社内の業務マニュアル等で同意手続きを明文化することをお勧めします。

特定在留カードはマイナンバーカードの性質も併せ持つため、写しの取得・保管はマイナンバー法の取扱いルールに従います(従来の在留カードと取扱いが異なる点に留意してください)。

ポイント2:「就労制限の有無」欄

在留カード表面の「就労制限の有無」欄には、主に次の記載があります。

  • 「就労制限なし」:永住者、日本人の配偶者等、定住者など。職種の制限はありません。
  • 「在留資格に基づく就労活動のみ可」:技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)など。在留資格で認められた範囲の仕事に限られます。
  • 「指定書により指定された就労活動のみ可」:在留資格「特定活動」。個別に交付される指定書の確認が必要です。
  • 「就労不可」:留学、家族滞在など。原則として雇用できませんが、ポイント3の資格外活動許可を確認します。

就労できる在留資格の種類と要件はこちら

外国人就労ビザとは?種類・要件・取得後の注意点まで行政書士がわかりやすく解説

ポイント3:裏面の「資格外活動許可欄」

「就労不可」の人でも、資格外活動許可を受けていれば、留学生のアルバイトのように一定の範囲で働けます。従来の在留カードでは裏面、特定在留カードでは表面に記載があります。

代表的なのは「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く。)」で、複数のアルバイト先がある場合は、合計で週28時間以内でなければなりません。

自社の勤務時間だけを見て判断しないよう、他のアルバイト先の有無も確認しておきましょう。

資格外活動許可でもNGになるケース

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ポイント4:在留期間(満了日)と更新申請中の記載

表面の「在留期間(満了日)」が過ぎていないかを確認します。満了日が過ぎていても、満了日前に更新や変更の申請をしていれば、結果が出るまで(最長で満了日から2か月)は従前の在留資格で在留できる「特例期間」の対象となり得ます。

その場合は、裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に申請中である旨の記載があるかを確認します。

在留期限後も働ける「特例期間」の仕組み

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ポイント5:指定書・業務内容との一致

在留資格「特定活動」の人は、指定書に記載された活動しかできません。また、在留資格「特定技能」の人も、指定書で受入れ機関(雇用する会社)や分野が指定されているため、指定書の確認が必要です。

さらに見落とされやすいのが、在留資格と実際の業務内容の一致です。たとえば技人国の人は「就労制限の有無」欄が「在留資格に基づく就労活動のみ可」なので一見働けそうに見えますが、工場の単純作業や接客中心の業務に従事させると、在留資格の範囲を超えた不法就労となるおそれがあります。

在留カードで「働けるか」だけでなく、「その仕事をさせてよいか」まで確認することが大切です。

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偽造カードを見抜く|読取アプリと失効情報照会の使い方

近年は券面の偽造技術が精巧になっており、目視だけで偽造カードを見抜くのは困難です。出入国在留管理庁は、次の2つのツールを併せて利用するよう案内しています。

1. 在留カード等読取アプリケーション

在留カードのICチップを読み取り、券面と同じ内容を画面に表示する無料アプリです。スマートフォン(Android・iOS)のほか、ICカードリーダライタを接続したパソコンでも利用できます。

2026年8月19日リリースの版から、新様式カード・特定在留カードの「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」も表示されるようになりました。古い版のままでは正しく動作しないことがあるため、アプリは最新版に更新しておきましょう。

なお、出入国在留管理庁は、読取アプリを本人の同意を得て利用するものと案内しています(同意手続きの明文化はポイント1を参照)。

2. 在留カード等番号失効情報照会

在留カード番号と有効期間の満了日を入力し、そのカード番号が失効していないかを確認できるWebサービスです。2025年11月14日以降は読取アプリからも照会できます。

読取アプリと失効情報照会の公式サポートページ

出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」

失効情報照会を使う際は、次の点に注意してください。

  • 毎日20時〜23時頃はデータ更新のため利用できない
  • 当日発行されたカードは「有効ではありません」と表示されることがある
  • 2026年1月5日以降、海外IPアドレスやVPN経由のアクセスは制限されている
  • 実在する有効な番号を使った偽造カードも確認されているため、照会結果だけで判断しない

アプリで読み取った情報が券面と異なる、カードを読み取れない、番号が失効している、といった場合は偽変造が疑われます。その際は採用を保留し、最寄りの地方出入国在留管理官署に相談するのが適切な対応と考えられます。

不法就労助長罪とは?「知らなかった」では済まない理由

不法就労助長罪は、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)第73条の2に定められた犯罪で、事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた者や、不法就労をあっせんした者などが処罰の対象となります。

不法就労の3つのパターン

出入国在留管理庁は、不法就労を次の3つに整理しています。

  1. 不法滞在者や被退去強制者が働くケース:在留期限が切れた人、密入国した人など
  2. 働く許可を受けていないのに働くケース:短期滞在で入国した人、資格外活動許可のない留学生など
  3. 認められた範囲を超えて働くケース:コックや語学教師として認められた人が工場作業員として働く、留学生が週28時間を超えて働くなど

人事担当者が特に注意したいのは、3つ目の「範囲を超えて働く」ケースです。在留カード自体は本物で有効でも、配属先の業務内容やシフトの組み方次第で不法就労になり得ます。

罰則と2027年4月1日からの厳罰化

入管法第73条の2第2項は、外国人の活動が不法就労にあたることを「知らないこと」を理由に処罰を免れることはできない、ただし過失がないときはこの限りでない、と定めています。

言い換えれば、在留カードをきちんと確認していれば「過失がない」と主張する余地がある一方、確認を怠っていれば「知らなかった」は通用しにくいということです。

罰則は、2026年10月時点で「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)」です。令和6年の入管法改正により、2027年(令和9年)4月1日以降は「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」に引き上げられます。

また、入管法には法人も罰する両罰規定があり、実際に雇用判断をした担当者個人だけでなく、会社にも罰金刑が科される可能性があります。

このほか、外国人事業主が不法就労をさせた場合は退去強制の対象となり、ハローワークへの外国人雇用状況の届出を怠った場合は30万円以下の罰金の対象となります。

なお、2025年の地方出入国在留管理官署による摘発箇所数は1,271件と公表されており、決して他人事ではありません。

入管法の条文(e-Gov法令検索)

e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」

採用後も続く確認|在留期限の管理と届出

在留カードの確認は、採用時に一度行えば終わりではありません。採用後も、次の3点を継続して管理することが重要です。

1. 在留期限の管理

在留期間の満了日を社員台帳で管理し、満了日の3か月前を目安に本人へ更新申請を促します。更新後は新しい在留カードの原本を確認し、記録を更新します。

2. 外国人雇用状況の届出(会社の義務)

外国人(特別永住者、「外交」「公用」を除く)を雇い入れたとき・離職したときは、労働施策総合推進法に基づき、ハローワークへの届出が会社に義務づけられています。届出には在留カード番号の記載が必要です。

厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」

3. 所属機関に関する届出(本人の義務)

技人国などの在留資格を持つ外国人は、転職などで所属機関が変わった場合、14日以内に出入国在留管理庁へ届け出る義務があります。

中途採用の際は、前職を辞めた後の届出が済んでいるかを本人に確認し、未提出であれば案内しましょう。

転職者の14日以内の届出と就労資格証明書

技人国の外国人が転職したら?14日以内の届出・就労資格証明書・更新を行政書士が解説【2026年版】

配置転換や業務内容の変更があったときも、ポイント5と同じ視点で在留資格の範囲内かを確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q
在留カードのコピーを保管しても問題ありませんか?
A

 本人の同意を得て、利用目的(在留資格・在留期限の確認など)を明らかにしたうえで写しを保管する運用は一般的に行われています。在留カードには個人情報が多く含まれるため、個人情報保護法に沿って保管場所や閲覧者を限定することが望ましいと考えられます。確認自体は必ず原本で行い、写しの保管は「確認した記録」と位置づけましょう。なお、特定在留カードの写しを取る場合、在留資格の確認だけが目的であれば、裏面の個人番号部分は写し取らない(またはマスキングする)運用が無難と考えられます。

Q
特別永住者を採用する場合も在留カードの確認は必要ですか?
A

特別永住者には在留カードではなく「特別永住者証明書」が交付されており、就労制限はありません。また、外国人雇用状況の届出の対象外とされています。ただし、本人確認のため証明書を確認し、読取アプリで真正性を確かめておくと安心です。

Q
在留期限が過ぎた在留カードを提示されました。採用してもよいですか?
A

満了日前に更新申請をしていれば、特例期間として最長で満了日から2か月間は従前の在留資格で在留できます。カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」の記載や、申請受付票などで申請中であることを確認してください。申請をしていない場合は不法残留にあたるおそれがあるため、採用は見合わせ、出入国在留管理庁や専門家に相談することをおすすめします。

Q
派遣社員や業務委託の外国人についても、自社で在留カードを確認すべきですか?
A

入管法第73条の2は「事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者」を処罰対象としており、雇用契約の形式に限られないと解されています。派遣元や委託先が確認しているとしても、受け入れる側として在留資格と業務内容が合っているかを確認しておくことが、リスク低減につながります。

Q
失効情報照会で「失効していません」と出れば、そのカードは本物と判断してよいですか?
A

いいえ。出入国在留管理庁は、照会結果は在留カード等自体の有効性を証明するものではないとしており、実在する番号を使った偽造カードも確認されています。読取アプリでICチップを読み取り、顔写真や記載内容が券面と一致するかを併せて確認してください。

まとめ

在留カードは、外国人を雇用してよいかを判断するための基本資料です。

採用時は、原本であること、就労制限の有無、資格外活動許可、在留期間、指定書と業務内容の一致という5つのポイントを確認し、読取アプリと失効情報照会を併用して偽造カードを見抜くことが大切です。

不法就労助長罪は「知らなかった」では免れず、2027年4月1日からは罰則が5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金に引き上げられます。採用後も在留期限や業務内容の確認を続けることで、会社と外国人社員の双方を守ることができます。

具体的な手続きは個別事情によって異なるため、行政書士 加治屋事務所までご相談ください。

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