特定技能「ビルクリーニング」完全ガイド|要件・試験・受入れの流れを解説【2026年版】

特定技能

「ビルの清掃を担う人手が足りない。特定技能でビルクリーニングの外国人を採用したいが、何から準備すればよいのか分からない」——そんな人事・総務のご担当者に向けた記事です。

特定技能「ビルクリーニング」は、オフィスビルや商業施設など建物内部の清掃を担う人材を受け入れられる在留資格ですが、他分野にはない「営業所の登録」や「協議会への加入」「派遣の禁止」といった固有の要件があります。

この記事では、外国人本人に求められる評価試験・日本語の要件から、受入企業が満たすべき条件、受入れの流れまでを、2026年8月時点の一次情報(運用要領・所管省庁の公表資料)に基づいて整理します。読み終えるころには、自社が受入れの前提を満たしているか、次に何を確認すべきかが分かるはずです。

行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルティング・ファイナンシャルプランニング技能検定3級

長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。また、企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。

特定技能「ビルクリーニング」とは?(制度の位置づけと対象業務)

特定技能は、人手不足が深刻な分野で一定の専門性・技能をもつ外国人材を受け入れるために、平成31年(2019年)4月に創設された在留資格です。

ビルクリーニング分野もその対象分野の一つで、分野を所管しているのは厚生労働省です。

運用要領(法務省・厚生労働省編。平成31年3月公表、令和6年2月一部改正)によれば、1号特定技能外国人が従事する業務は、多数の利用者が利用する建築物(住宅を除く。)の内部を対象に、衛生的環境の保護、美観の維持、安全の確保及び保全の向上を目的として、場所・部位・建材・汚れ等の違いに対し、方法・洗剤及び用具を適切に選択して清掃作業を行い、建築物に存在する環境上の汚染物質を排除し、清潔さを維持する業務」とされています(分野別運用要領第3の1(1))。

つまり対象は、オフィスビル・商業施設・病院・ホテル・学校など「多数の人が利用する建物の内部清掃」であり、住宅(個人宅)の清掃は対象外です。

なお、日本人が通常従事する関連業務に付随的に従事することは差し支えありませんが、関連業務だけに専ら従事させることは認められません。

受入れ見込数は、令和6年度からの5年間で最大3万7,000人とされています(厚生労働省)。 

特定技能制度の全体像はこちら

特定技能制度とは?企業が知るべき外国人材受入れの完全ガイド

出入国在留管理庁の特定技能制度ページ

出入国在留管理庁「特定技能制度」

ビルクリーニング分野で働くための要件(1号)|技能試験と日本語

1号特定技能外国人としてビルクリーニング分野で働くには、原則として次の2つの試験に合格していることが必要です(分野別運用要領第3の1(1))。

技能水準:ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験

実施機関は公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会で、CBT方式(ピアソンVUEに委託)により実施されています。

学科試験(20問・40点)と実技試験(30問・60点)で構成され、いずれも満点の60%以上が合格基準です(2026年8月時点、全国ビルメンテナンス協会)。

国内はテストセンターの営業日に随時受験でき、国外でもフィリピン・ベトナム・インドネシア・ミャンマー等で実施されています。

受験は試験日において17歳以上(インドネシア国籍の場合は18歳以上)であることが条件です。

日本語能力水準

「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」合格していること、そのほか「日本語教育の参照枠」のA2相当以上の水準と認められることが求められます。 

これらは「業務に必要な技能」と「生活・業務に必要な日本語」の両面を確認するもので、いずれか一方だけでは要件を満たしません。

評価試験の実施要領はこちら

公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会「ビルクリーニング特定技能1号評価試験」

技能実習から特定技能へ移行する場合(試験免除)

すでにビルクリーニング関係の技能実習を経験した外国人を継続雇用する場合、試験が免除されるケースがあります。

  • ビルクリーニング職種・ビルクリーニング作業技能実習2号を良好に修了した者は、技能・日本語の両面で必要な水準を満たしているものとして扱われ、1号評価試験が免除されます(運用要領第3の2)。
  • 職種・作業の種類にかかわらず技能実習2号を良好に修了した者は、技能実習生として良好に約3年間日本で生活したことをもって、日本語試験(国際交流基金日本語基礎テスト・日本語能力試験N4以上)が免除されます。

免除を受けるには、技能検定(3級)実技試験の合格証明書の写しや、実習実施者が作成した評価調書(参考様式第1-2号)等の提出が必要です。免除の可否は提出書類により審査されますので、詳細は最新の運用要領でご確認ください。 

協議会加入が間に合わないときの選択肢

特定技能に移行できない!協議会未加入でも使える特定活動(移行準備)とは

受入企業が満たすべき「固有の要件」|登録・協議会・派遣禁止

ビルクリーニング分野には、他分野にはない固有の要件があります。次の3点はとりわけ重要です。

営業所が「建築物清掃業」等の登録を受けていること

特定技能外国人を受け入れる営業所は、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)」第12条の2第1項第1号に規定する「建築物清掃業」、又は同項第8号の「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けている営業所である必要があります(告示第2条)。

この登録は法人単位ではなく営業所単位で、都道府県知事が行います。有効期限は6年で、継続して受け入れる場合は更新が必要です(更新されないと要件を満たさなくなります)。

雇用条件書に記載する事業所(営業所)と、登録を受けている営業所は一致している必要があります。

ビルクリーニング分野特定技能協議会への加入

厚生労働大臣が設置する「ビルクリーニング分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会」の構成員となり、必要な協力を行う必要があります。

令和6年6月15日以降は、初めて1号特定技能外国人を受け入れる場合であっても、在留諸申請の際に協議会の構成員であることを明らかにする書類の提出が必要で、提出がない場合は不許可となります。協議会で協議が調った事項に関する措置を講じることも求められます。

労働者派遣(派遣)の禁止

ビルクリーニング分野では、特定技能外国人を労働者派遣の対象とすることができません(告示第1条)。

特定技能外国人を派遣することも、派遣された者を受け入れることもできません違反した場合、以後5年間は特定技能外国人の受入れができなくなります。 

厚生労働省のビルクリーニング分野案内

厚生労働省「ビルクリーニング分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格『特定技能』について)」

上乗せ要件が多い建設分野の例

特定技能「建設」完全ガイド|要件・3区分・受入計画

受入れの流れと支援体制

実際に受け入れる際の大きな流れは、次のとおりです。

  1. 自社の営業所が「建築物清掃業」等の登録を受けているか確認する
  2. ビルクリーニング分野特定技能協議会に加入する
  3. 試験合格者または技能実習修了者を採用し、特定技能雇用契約を締結する
  4. 1号特定技能外国人支援計画を作成する
  5. 地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請(海外から)または在留資格変更許可申請(国内から)を行う

1号特定技能外国人には、受入企業(特定技能所属機関)が職業生活・日常生活・社会生活上の支援を行う義務があります。

支援体制を自社で満たせない場合は、登録支援機関に支援を委託することも可能です。 

自社支援の要件を詳しく

【2026年版】特定技能の自社支援とは|登録支援機関に委託しない要件

審査には一定の期間がかかるため、採用計画は在留審査の処理期間も見込んで立てることが大切です。 

最新の在留審査期間はこちら

在留審査処理期間の最新動向|2026年版

1号から2号へ(概要)

ビルクリーニング分野には、より熟練した技能をもつ「特定技能2号」もあります

2号は、建物内部の清掃に複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する業務や、その計画作成・進行管理などのマネジメント業務を担う区分です。

2号になるには、「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」又は「技能検定1級(ビルクリーニング)」の合格に加え、建築物清掃業等の登録を受けた営業所が行う建物内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し「現場を管理する者としての2年以上の実務経験」を有することが必要です(分野別運用方針3(2)等)。

本記事は1号を中心に解説しているため、2号の詳細は別途最新の一次情報をご確認ください。

ビルクリーニング分野への分野転換の実例

協議会加入期限の「当日告知」を乗り越えビルクリーニング分野へ分野転換した許可事例

よくある質問(FAQ)

Q
自社だけで特定技能外国人を受け入れられますか?(登録支援機関は必須ですか?)
A

支援体制基準を満たせば自社支援も可能ですが、満たせない場合は登録支援機関への委託が必要です。加えてビルクリーニング分野では、営業所の建築物清掃業等の登録と協議会への加入が受入れの前提となる点にご注意ください。

Q
住宅(個人宅)の清掃も対象になりますか?
A

対象は「多数の利用者が利用する建築物(住宅を除く。)」の内部清掃であり、個人の住宅は対象外と解されます。ホテルや商業施設など建物内部の清掃は対象となり得ますが、業務の実態が分野の定義に合致するかは個別の審査によります。

Q
派遣会社を通じて特定技能外国人に清掃をしてもらうことはできますか?
A

できません。ビルクリーニング分野では労働者派遣が禁止されており(告示第1条)、派遣・受入れのいずれも認められません。違反すると以後5年間、特定技能外国人の受入れができなくなります。

Q
協議会への加入はいつまでに必要ですか?
A

令和6年6月15日以降は、初めて受け入れる場合であっても、在留諸申請の前に加入し、申請時に構成員である旨の証明書類を提出する必要があります。提出がないと不許可となる点にご留意ください。

Q
技能実習からの切替えなら試験は不要ですか?
A

ビルクリーニング職種・ビルクリーニング作業の技能実習2号を良好に修了していれば、1号評価試験・日本語試験ともに免除され得ます。他職種の技能実習2号修了でも日本語試験は免除されますが、技能面は別途確認が必要です。免除の可否は提出書類により審査されます。

まとめ

特定技能「ビルクリーニング」は、オフィスビルや商業施設など建物内部の清掃を担う人材を受け入れられる制度です。

1号で働くには、原則としてビルクリーニング分野特定技能1号評価試験と日本語試験(N4以上等)の合格が必要で、ビルクリーニング関係の技能実習2号を良好に修了した場合は試験が免除され得ます。

受入企業側では、営業所の建築物清掃業等の登録、協議会への加入、派遣の禁止という固有の要件を満たさなければなりません。

制度は省令改正等で変わることがあるため、申請前に出入国在留管理庁・厚生労働省の最新資料を必ずご確認ください。

具体的な手続きは個別事情によって異なるため、行政書士 加治屋事務所までご相談ください。

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