在留審査処理期間の最新動向|経営管理ビザ169日に長期化〔2026年版〕

採用ノウハウ

「就労ビザの審査って結局どれくらいかかるのか」「採用計画はいつから動かせばよいか」――外国人雇用に関わる人事担当者からよく受けるご相談です。出入国在留管理庁は毎月、在留資格ごとの在留審査処理期間を公表していますが、令和7年4月から令和8年1月までの10ヶ月分を集計すると、全体として長期化が進んでいることが見えてきます。とくに経営・管理の認定証明書交付は令和8年1月時点で169日と、4月の96日から大幅に伸びています。本記事では、最新10ヶ月の公表データをもとに、在留資格別・月別・申請種別ごとの傾向を整理し、採用計画立案の参考になる読み解き方をご紹介します。

【筆者プロフィール】

行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルティング・ファイナンシャルプランニング技能検定3級

長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。また、企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。

在留審査処理期間とは何か(指標の読み方)

在留審査処理期間とは、出入国在留管理庁(以下、入管庁)が在留資格関連の申請を受理してから許可(または告知)に至るまでの平均所要日数を、毎月公表している統計指標です。

【出入国在留管理庁「在留審査処理期間(日数)」公表ページ】

公表されている数値は、申請区分ごとに次のように整理されています。

申請種別公表される指標意味
在留資格認定証明書交付処分(交付)までの日数海外から呼び寄せる際に必要なCOE発行までの日数
在留期間更新処分(告知)/審査終了までの日数期間更新申請の受理から許可告知(または審査終了)までの日数
在留資格変更処分(告知)/審査終了までの日数別の在留資格への変更申請の受理から許可告知(または審査終了)までの日数

更新・変更の「処分(告知)までの日数」には、審査自体は終わっていても入管局に許可受領で来庁する日までの待ち時間が含まれます。つまり「審査終了までの日数」が実際の審査作業に要した期間、「処分(告知)までの日数」がそれに来庁日調整を加えた合計、と整理できます。10ヶ月平均で見ると、来庁待ちは更新で約12日、変更で約11日とほぼ一定で推移しています。

なお、本数値は申請受理日から告知日までの期間であり、追加資料の提出を求められた場合の応答待ち期間も含まれます。不許可・取下げ案件は集計対象外です。

全体傾向:10ヶ月で平均処理日数はどう動いたか

令和7年4月許可分から令和8年1月許可分まで、全在留資格を平均した処理日数の推移は以下のとおりです。

図表1:全在留資格平均の処理日数 月次推移(出典:出入国在留管理庁公表データより作成)

特徴として、認定証明書交付(COE)は4月時点で47.9日だったものが、令和8年1月には54.4日まで伸びています。10ヶ月で約14%の長期化です。在留資格変更は4月45.9日から1月60.1日と、約31%伸びており、3つの申請種別の中でもっとも長期化が顕著です。一方、在留期間更新は32〜39日のレンジで比較的安定して推移しています。入管庁の注記でも触れられているとおり、例年4月の就職時期や4月・10月の日本語学校開講時期に申請が集中するため、就労資格や留学について審査が長期化する傾向は構造的に存在します。ただし令和7年度については、年度後半(11月以降)に入っても短縮に転じておらず、季節要因だけでは説明しきれない動きと解されます。

申請種別ごとの比較(認定証明書/更新/変更)

10ヶ月平均で見ると、申請種別ごとの平均所要日数は次のような関係になります。

申請種別10ヶ月平均
認定証明書交付約48.5日
在留期間更新(処分告知)約35.6日
在留期間更新(審査終了)約23.2日
在留資格変更(処分告知)約49.9日
在留資格変更(審査終了)約38.3日

ここから読み取れることをまとめます。

 海外からの呼び寄せ(COE)と在留資格変更は同じ程度の日数

海外居住者を呼び寄せる場合のCOE取得(約48日)と、すでに日本にいる外国人の在留資格変更(約50日)は、ほぼ同等の所要日数です。「すでに日本にいるから早く済む」とは限らない点に注意が必要です。

在留期間更新は最も短い

更新は実質審査23日+来庁調整12日で35日程度。有効期限の3ヶ月前から更新申請が可能ですので、余裕をもって申請すれば期限切れリスクは抑えられます。

「変更が更新より長い」資格と「変更が短い」資格がある

変更の方が長い資格平均差(変更−更新)
法律・会計業務+26.3日
高度専門職1号ハ+21.7日
特定技能1号+20.0日
経営・管理+18.8日
定住者+18.0日

企業内転勤・報道は「変更」の元になる申請数自体が少なく、母数の偏りによる影響と推測されますが、特定技能1号・経営管理・法律会計などは新規受け入れや起業設立に関わる審査要素が多いため、構造的に変更審査が長期化していると解されます。

就労資格別の動向(技人国・特定技能・経営管理ほか)

人事担当者にとって関心が最も高い就労資格の認定証明書交付日数を整理します。下のグラフは、主要就労資格における令和7年4月と令和8年1月の処理日数を比較したものです。

在留資格令和7年4月令和8年1月10ヶ月平均10ヶ月最大
技人国48.9日59.5日58.7日64.9日
特定技能1号56.9日73.5日67.3日75.1日
特定技能2号68.1日69.6日53.6日98.6日
経営・管理96.3日169.0日108.4日169.0日
技能98.5日101.3日87.5日119.3日
介護33.8日115.4日50.9日115.4日
企業内転勤31.5日47.3日39.4日56.0日
研究42.1日62.5日51.6日67.8日
教育38.0日35.1日30.4日38.0日
高度専門職1号ロ47.9日40.1日41.2日47.9日
高度専門職1号ハ150.6日88.7日109.0日150.6日

特徴的な動きを3点挙げます。

経営・管理の長期化

令和7年9月以降、認定証明書交付の所要日数が右肩上がりに伸び、令和8年1月には169日(約5ヶ月半)に達しました。一般論として、令和7年10月から経営・管理ビザの基準省令改正(資本金額や常勤職員数等の要件強化)が施行されたことが影響していると推測されますが、確定的な因果関係は入管庁からは公表されていないため、断定はできません。経営者ビザでの会社設立を検討している場合は、従来想定の2倍程度の期間を見込む運用が現実的です。

介護の月次変動の大きさ

介護は10ヶ月平均では50.9日ですが、月によって27.5日(6月)から115.4日(1月)まで大きく振れます。標準偏差25.8日は、就労資格の中でもっとも変動が大きい部類です。

技人国・特定技能1号も静かに長期化

技人国は4月48.9日から1月59.5日(約+22%)、特定技能1号は4月56.9日から1月73.5日(約+29%)と、目立たないものの着実に伸びています。「概ね1ヶ月で出る」というかつての感覚で採用計画を立てると、2ヶ月以上のずれが生じうる点に注意が必要です。

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身分系資格・特定活動・永住者の動向

身分系・特定活動・永住者についても傾向が見られます。

永住者(永住許可申請)

変更(処分告知)まで、10ヶ月のいずれの月でも250日〜340日で推移しており、平均は約298日(約10ヶ月)です。令和7年9月の338日が最長でした。永住申請は1年程度の審査期間を前提に準備するのが妥当です。

家族滞在・日本人の配偶者等・定住者

いずれも認定証明書交付日数が大きく伸びています。

在留資格令和7年4月令和8年1月ピーク月の値
家族滞在71.5日72.5日110.0日(8月)
日本人の配偶者等63.3日98.1日98.1日(1月)
永住者の配偶者等71.5日106.5日106.5日(1月)
定住者65.1日79.6日86.4日(11・12月)

配偶者ビザの呼び寄せは3ヶ月超を見込むのが安全圏です。

特定活動

COE交付日数が4月18.7日から1月48.4日と約2.6倍に伸びています。特定活動は活動内容によって運用が大きく異なるため、申請しようとしている号番号ごとの個別運用を事務所等に確認することを推奨します。

特定活動についての詳しい記事はこちら

特定活動46号とは?取得要件・できる仕事・企業の採用メリットを解説

短期滞在

全期間を通じて10日前後で安定しており、所要日数の影響は小さい区分です。

採用計画への落とし込み方

以上の数値から、外国人雇用を計画する際の逆算スケジュールの目安を整理します(令和8年1月時点の数値ベース)。

ステップ想定期間補足
採用候補者の選定・条件すり合わせ1〜2ヶ月
雇用契約書・申請書類準備2〜4週間
認定証明書交付申請 → 交付約2〜6ヶ月(資格により変動)経営管理は約5〜6ヶ月想定
COE発送 → ビザ申請(在外公館)2〜4週間国により差
渡日・住居手配・入社準備2〜4週間

就労ビザの申請を出してから入社までの期間は、最短でも約4ヶ月、経営・管理など長期化資格は半年以上を見込む計画が現実的です。 また、すでに日本にいる留学生を新卒採用する場合(在留資格変更)も、1ヶ月半〜2ヶ月程度の審査期間を前提に、3月卒業→4月入社のスケジュールでは前年12月〜1月までに変更申請を済ませる流れが安全です。

留学生を採用する際の記事はこちら

留学生を新卒採用するときの在留資格変更ガイド【2025年最新】

期間が長くなる主な要因と対応策

審査期間が長期化する主な要因として、一般的に次の点が挙げられます。

1. 申請件数の集中:4月入社・10月入学などの時期。

2. 書類不備による追加資料要求:応答期間も処理日数にカウントされるため、初回提出時に資料を充実させることで実質短縮が可能です。

3. 制度改正後の運用変動:令和7年10月の経営・管理ビザ改正のように、基準が動くと審査側も慎重になる傾向が解されます。

4. 入管局ごとの混雑差:本記事の数値は全国平均で、東京・大阪など大規模局では更に混む傾向がある旨が一般に指摘されています。

対応策としては以下が考えられます。

● 早期申請:認定証明書は内定確定後すぐに準備。

● 書類の精緻化:理由書・上申書を含めた申請時点の説得力を高める。

● オンライン申請の活用:申請取次行政書士または受入企業からの電子申請を利用することで、書類授受の往復ロスを抑制できます。

在留申請のオンライン手続はこちら 出入国在留管理庁 在留申請オンラインシステム】

なお、本記事の数値は令和8年1月許可分までのもので、それ以降の最新動向は入管庁の公表資料でご確認ください。

まとめ

最新10ヶ月のデータからは、在留審査処理期間は全体として長期化傾向にあり、とくに経営・管理ビザの認定証明書交付は令和8年1月時点で169日に達しています。技人国や特定技能1号も静かに伸びており、「就労ビザは1ヶ月で出る」というかつての感覚は通用しません。在留期間更新は比較的安定していますが、在留資格変更は前年比で約3割長期化しています。採用計画は保守的に半期単位で逆算し、書類の精緻化と早期申請で実質短縮を図ることが現実的な対策となります。具体的な手続きは個別事情によって異なるため、行政書士へご相談ください。

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