在留資格「医療」とは?

在留資格

対象の14資格・要件・申請手続きを行政書士が解説【2026年版】

「外国人の看護師を採用したい」「日本の医師免許を持つ外国人を病院で雇いたい」

医療機関から、医療職の在留資格についてご相談をいただく機会が増えています。

本記事は、外国人の医療従事者の受入れを検討している病院・診療所・歯科医院・薬局の経営者や事務担当の方に向けて書いています。

医師や看護師などが日本で医療業務に従事するための在留資格が「医療」です。対象は日本の医療資格を持つ14職種に限られ、職種によっては報酬以外の基準も定められています。

この記事では、対象資格と上陸許可基準、在留資格認定証明書交付・変更・更新の必要書類、2026年10月1日から改定される在留許可手数料、受入れ後の届出まで、医療機関が押さえておくべきポイントを解説します。

行政書士・第一種衛生管理者・EAPコンサルティング・ファイナンシャルプランニング技能検定3級

長年の総合人材サービス会社にて労働法令・労働市場・雇用関係に精通しており、行政書士としては申請取次士として、数多くの在留資格の申請に携わる。また、企業・団体などの外国人雇用に関する相談実績も多数。

在留資格「医療」とは|活動内容と在留期間

該当する活動と在留期間

在留資格「医療」は、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)別表第一の二で「医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動」と定められている就労系の在留資格です。

在留期間は5年・3年・1年または3月のいずれかが決定されます(出典:在留資格「医療」|出入国在留管理庁)。

ポイントは「法律上資格を有する者が行うこととされている」業務である点です。

医師法や保健師助産師看護師法などの資格法で、有資格者でなければ行えないとされている業務に、その資格を持つ外国人が従事することが想定されています。

資格を持っていても、受付や事務など資格を要しない業務に従事するだけでは、在留資格「医療」の活動には当たらないと解されます。

対象となる14の医療資格

出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(以下、上陸基準省令)は、在留資格「医療」の対象として次の14の資格を列挙し、一部の資格には報酬以外の基準も設けています(出典:該当する活動・上陸許可基準(出入国在留管理庁PDF))。

区分資格報酬以外の個別の基準
A医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師なし
B准看護師日本で准看護師の免許を受けた後4年以内の期間中に、研修として業務を行うこと
C薬剤師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士本邦の医療機関または薬局に招へいされること

いずれの区分も、次章で説明する「日本人と同等額以上の報酬」が共通の基準です。

上陸基準省令に列挙されていない医療関係の資格(例えば臨床検査技師や言語聴覚士)は、在留資格「医療」の基準に適合しないと解されます。

なお、介護福祉士が介護業務に従事する場合は、在留資格「医療」ではなく在留資格「介護」の対象です(在留資格「介護」の解説はこちら)。

「技術・人文知識・国際業務」では医療職として働けない

医療機関で働く外国人でも、医療職として働くのであれば「技術・人文知識・国際業務」(以下、技人国)は使えません。

入管法別表第一の二は、技人国の活動から「医療」の項に掲げる活動を除いているためです。

一方で、医療機関の通訳や医療事務などの業務内容によっては、技人国の対象となる余地があります。どの在留資格に当たるかは、資格の有無ではなく「実際に従事する業務」で判断されます。

在留資格「医療」の要件(上陸許可基準)

在留資格の審査では、活動が在留資格に当てはまるか(該当性)と、上陸基準省令の基準を満たすか(基準適合性)が確認されます。

考え方の全体像は在留資格許可の「該当性・基準適合性・相当性」で解説しています。ここでは在留資格「医療」の基準を3つに分けて説明します。

日本人と同等額以上の報酬

すべての資格に共通する基準が、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けて従事すること」です。

同じ医療機関で同じ資格・経験年数の日本人職員と比べて、基本給や手当に不合理な差がないかを確認してください。国籍を理由に低い賃金を設定することは認められません。

申請時には雇用契約書や労働条件通知書で報酬額を示すことになるため、本人が内容を理解できるよう、必要に応じて母国語の訳を添えておくと安心です。

准看護師は「免許取得後4年以内の研修」に限られる

准看護師として在留資格「医療」を取得する場合は、日本で准看護師の免許を受けた後4年以内の期間中に、研修として業務を行うことが求められます。

看護師には同様の期間制限がないため、准看護師の方を長期的に雇用したい場合は、看護師資格の取得も視野に入れたキャリア設計を本人と話し合っておくことが考えられます。

薬剤師・歯科衛生士などは医療機関または薬局への招へいが必要

薬剤師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士の8資格は、「本邦の医療機関又は薬局に招へいされること」が基準に加わります。

つまり、日本の病院・診療所・薬局などに雇用されて業務に従事することが前提です。医師・歯科医師・保健師・助産師・看護師には、この招へいの基準は定められていません。

前提となる「日本の医療資格」

外国の免許だけでは要件を満たさない

出入国在留管理庁が公表している提出書類には、「申請人が医師又は歯科医師の日本の資格を有することを証明する文書」「申請人が次のいずれかの日本の資格を有することを証明する文書」(いずれも免状または証明書等の写し)が含まれています。

在留資格「医療」は、日本の医療資格を持っていることが前提であり、母国で医師や看護師の免許を持っているだけでは取得できません。

外国の養成校を卒業した方や外国で免許を取得した方については、職種によって、厚生労働大臣が日本の養成校の卒業者と同等以上の知識・技能があると認めた場合に日本の国家試験を受けられる仕組みがあります。

例えば歯科衛生士では、厚生労働省が受験資格の認定手続きを案内しています(歯科衛生士国家試験受験資格の認定について|厚生労働省)。

認定の要件や手続きは資格ごとに異なるため、採用予定者の資格に応じて厚生労働省の案内を確認してください。

免許は登録によって与えられる

国家試験に合格しただけでは、免許を受けたことにはならない点にも注意が必要です。

例えば歯科衛生士法第6条第1項は、免許は「試験に合格した者の申請により、歯科衛生士名簿に登録することによって」行うと定めています(歯科衛生士法|e-Gov法令検索)。

在留資格の申請には免状または証明書等の写しが必要になるため、国家試験の合格直後に採用する場合は、登録が完了する時期を見込んで申請や入職日のスケジュールを組むことになります。

在留資格「医療」の申請の種類と必要書類

3つの申請パターンと標準処理期間

採用する人がいまどこにいて、どの在留資格を持っているかによって、行う申請が変わります。採用ルートごとの手続きの違いは外国人採用の3つの方法もあわせてご覧ください。

採用する場面申請の種類標準処理期間
海外にいる医療職を呼び寄せる在留資格認定証明書交付申請(出入国在留管理庁)1か月〜3か月
日本に在留中の外国人(他の在留資格)を医療職として採用する在留資格変更許可申請(出入国在留管理庁)1か月〜2か月
在留資格「医療」で働いている人が引き続き勤務する在留期間更新許可申請(出入国在留管理庁)2週間〜1か月

標準処理期間はあくまで目安で、時期や申請内容によっては長くかかることもあります。直近の傾向は在留審査の処理期間の最新動向で解説しています。

入職日は、許可の見込み時期から逆算して余裕を持って設定しましょう。

カテゴリー別の提出書類

在留資格「医療」の提出書類は、カテゴリー1(医師・歯科医師)とカテゴリー2(医師・歯科医師以外の者)に分かれています。

出入国在留管理庁が公表している主な書類は次のとおりです(出典:在留資格「医療」|出入国在留管理庁)。

書類認定証明書交付変更更新
申請書○○○
写真(指定の規格を満たしたもの)○○○
返信用封筒(簡易書留用の切手を貼付)○--
パスポートおよび在留カード(提示)-○○
日本の医療資格を有することを証明する文書(免状または証明書等の写し)○○-
勤務する機関の概要を明らかにする資料(病院・診療所など設立に許可を要する機関は、許可を受けた年月日を明示)○○カテゴリー2で転職後の初回更新時
住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書--○
従事する職務の内容および報酬を証明する在職証明書などの所属機関の文書--カテゴリー2のみ

更新については、カテゴリー1(医師・歯科医師)は住民税の証明書以外の資料が原則不要とされています。

日本で発行される証明書は発行日から3か月以内のものを提出し、外国語の書類には日本語訳を添付します。審査の過程で、ここに記載のない資料の提出を求められることもあります。

在留期間更新は満了日の3か月前から

在留期間更新許可申請は、6か月以上の在留期間を持つ方であれば、在留期間が満了する3か月前から申請できます。

在留期間の満了日までに申請していれば、満了日を過ぎても、処分がされる時または満了日から2か月を経過する日のいずれか早い日まで、引き続き在留できます(入管法第20条第6項、第21条第4項。特例期間の詳しい解説はこちら)。とはいえ、期限直前の申請は避け、院内で在留期限を管理しておくことが大切です。

在留許可手数料(2026年10月1日改定)

在留資格変更許可と在留期間更新許可の手数料は、改正後の出入国管理及び難民認定法施行令第25条第1項により、2026年10月1日から改定されます。

これまでの一律6,000円(オンライン申請は5,500円)から、許可される在留期間の区分に応じた金額に変わります(出典:令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について|出入国在留管理庁)。

許可される在留期間窓口申請オンライン申請
3月以下10,000円10,000円
3月超6月以下18,000円15,000円
6月超1年未満25,000円21,000円
1年33,000円27,000円
1年超3年未満48,000円42,000円
3年以上5年未満64,000円56,000円
5年以上75,000円65,000円

2026年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の額で納付します。

手数料の額は審査の結果として決まる在留期間によって変わるため、申請の時点では確定しません。

窓口申請では審査終了後に届くハガキに、オンライン申請では審査完了後の決済案内メールに、納めるべき額が記載されます。なお、在留資格認定証明書交付申請には手数料はかかりません。

また、同日から納付方法も変わります。窓口申請は従来どおり収入印紙で納付しますが、オンライン申請はコンビニ決済または銀行決済のみとなり、収入印紙は使えません。

オンライン申請では上記の手数料とは別に決済手数料もかかります。手数料が以前より大きく上がるため、本人と医療機関のどちらが負担するかを、雇用契約の段階で取り決めておくとよいでしょう。

受入れ後に必要な届出と家族の帯同

医療機関が行う外国人雇用状況の届出

外国人を雇い入れた医療機関は、労働施策総合推進法にもとづき、ハローワークへ外国人雇用状況の届出を行います。離職したときも届出が必要です(外国人雇用状況の届出|厚生労働省)。

また、各資格法で定められている業務従事者の届出などは、日本人の医療職と同じように必要になります。

家族は「家族滞在」で帯同できる

在留資格「医療」で在留する方の扶養を受ける配偶者または子は、在留資格「家族滞在」の対象です(入管法別表第一の四)。

家族を呼び寄せる予定がある場合は、本人の在留資格の手続きと並行して準備を進めると、来日時期をそろえやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q
外国の医師免許や看護師免許があれば、日本の病院で働けますか?
A

外国の免許だけでは在留資格「医療」を取得できません。出入国在留管理庁の提出書類では、日本の医療資格を有することを証明する文書が求められています。外国で免許を取得した方は、職種ごとの受験資格の認定などを経て、日本の国家試験に合格し、免許を受ける必要があります。

Q
外国人看護師を「技術・人文知識・国際業務」で雇用することはできますか?
A

看護師として働く場合はできないと解されます。入管法別表第一の二は、技術・人文知識・国際業務の活動から「医療」の項に掲げる活動を除いているためです。看護師の業務に従事する場合は在留資格「医療」を取得します。技人国の対象業務については技術・人文知識・国際業務の解説をご覧ください。

Q
准看護師でも在留資格「医療」を取得できますか?
A

取得できますが、上陸基準省令により、日本で准看護師の免許を受けた後4年以内の期間中に、研修として業務を行う場合に限られます。長く働いてもらう予定がある場合は、この期間制限を踏まえて採用計画を立てる必要があります。

Q
在留資格「医療」の在留期間と手数料はどうなりますか?
A

在留期間は5年・3年・1年または3月のいずれかで、どの期間が決定されるかは個別の審査によります。2026年10月1日以降に受け付けた変更・更新の申請では、決定された在留期間に応じて手数料が変わります(窓口申請で1年なら33,000円、3年以上5年未満なら64,000円など)。

Q
在留資格「医療」の外国人が転職したときは、どんな手続きが必要ですか?
A

本人は、勤務先の医療機関から離脱・移籍した日から14日以内に、出入国在留管理庁へ所属機関に関する届出を行う必要があります(入管法第19条の16)。医療機関側は、ハローワークへの外国人雇用状況の届出を行います。また、カテゴリー2の方は、転職後の初回の更新申請で新しい勤務先の概要を明らかにする資料の提出も求められます。

まとめ

在留資格「医療」は、医師・看護師・薬剤師など、日本の医療資格を持つ14職種の外国人が、その資格が必要な医療業務に従事するための在留資格です。

日本人と同等額以上の報酬が共通の基準で、准看護師には免許取得後4年以内の研修、薬剤師や歯科衛生士などには医療機関または薬局への招へいという個別の基準があります。

外国の免許だけでは取得できず、医療職として働く場合は技人国も使えません。

2026年10月1日からは、変更・更新の手数料が在留期間に応じた額に改定されます。具体的な手続きは個別事情によって異なるため、行政書士 加治屋事務所までご相談ください。

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